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カーボンニュートラルに挑戦する3つのエコ エコソリューション Eco Solution 日本の省エネ技術の普及により世界のカーボンニュートラル実現に貢献 Eco Process Eco Product Eco Solution

カーボンニュートラルの実現に「世界で」挑戦する

日本鉄鋼業では、国内でのCO2削減対策に加え、中国・インド・ASEANをはじめとする鉄鋼業の成長が著しい国への環境・省エネ協力や、GSEP「エネルギー効率向上に関する国際パートナーシップ」等の多国間協力の枠組みを通じ、世界のCO2削減にも取り組んでいます。2013年には、日本が主体となって開発を行った、鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法が国際規格「ISO14404」として発行されました。現在、世界各国・地域にて、「ISO14404」を用いて製鉄所省エネ診断調査を実施した上で、当該国にふさわしい省エネ技術を提案することにより、日本鉄鋼業からの省エネ技術移転を推進しています。

1.日中鉄鋼業界環境保全・省エネ先進技術交流会

● 2005年に日中鉄鋼業トップで覚書締結(北京)以降、これまで11回技術交流会を実施。
● 日中鉄鋼業における国際連携の礎。

 

 

2024年1月24日 第14回日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術専門家交流会

2.日印鉄鋼官民協力会合

● 2011年以降、毎年官民協力会合を実施し、ファイナンスも含めた日本からの省エネ支援策について検討。
● インド鉄鋼業にふさわしい高炉と電炉の省エネ・環境保全・リサイクル技術を掲載した「インド版技術カスタマイズドリスト(高炉)」と「インド版技術カスタマイズドリスト(電炉)」を策定。 同リスト掲載の省エネ技術のうち試算可能な11技術が全てインドに普及した場合、年間1,300万t程度のCO2削減が見込まれる。

2023年11月29日 日印鉄鋼官民協力会合を開催

3.日ASEAN鉄鋼イニシアチブ

● 2014年5月に、日本鉄鋼連盟とアセアン鉄鋼評議会(AISC)は「環境・標準化・通商」分野における交流促進に関する覚書を締結。環境分野に関する取り組みとして、官民協力による「日ASEAN鉄鋼イニシアチブ」を発足。
● ASEAN鉄鋼業にふさわしい高炉と電炉の省エネ・環境保全・リサイクル技術を掲載した「ASEAN版技術カスタマイズドリスト(電炉)」と「ASEAN版技術カスタマイズドリスト(高炉)」を策定。

2024年2月6日 日アセアン鉄鋼イニシアチブウェビナーを開催

4.GSEP 鉄鋼ワーキンググループ

● 2006年に日本、豪州、中国、インド、韓国、米国の6カ国(2007年よりカナダも参加)により開始されたAPP鉄鋼タスクフォースでは、専門家による省エネ診断調査の実施や、環境・省エネ技術を掲載した「技術ハンドブックSOACT」の策定などにより、メンバー国からの高い評価を受けた。
● 2011年にAPP鉄鋼タスクフォースを発展的に解消し発足したGSEP 鉄鋼ワーキンググループでは、かつてAPPに参加していた日本、中国、インド、韓国、米国、等を中心とし、省エネ政策・技術等に関する情報交換を行った。GSEP鉄鋼WGは一定の成果を上げ、2016年2月の会合をもって解散した。

5.ISO14404 (鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法)

● 2013年3月、日本が主体となって開発を行った、鉄鋼CO2排出量・原単位計算方法の国際規格が「ISO 14404」として発行された。インドやASEAN等の製鉄所における省エネ診断調査等で、「ISO 14404」が活用されている。
●2020年12月、高炉一貫プロセス、電炉プロセス、還元鉄電炉プロセス以外の複雑な設備構成の製鉄所にも適用可能なISO 14404シリーズのガイダンス規格(ISO 14404-4)が発行された。
● 「ISO14404」の活用促進を目的とし、「ISO14404 User Guide」および「ISO14404計算ツール(高炉用電炉用DRI電炉用すべてのプロセス用)」「ISO14404技術導入シミュレーター(高炉用電炉用DRI電炉用すべてのプロセス用)」を作成した。

日本鉄鋼業の技術を活かした世界規模でのCO2削減

RITEの分析では、日本鉄鋼業のエネルギー効率が世界最高水準であることが報告されています。この分析は、日本の製鉄所において、既存技術はほぼ全て設置され、省エネ対策の余地が少ないことを示しています。

鉄鋼業(高炉・転炉法)のエネルギー原単位の国際比較 鉄鋼業(電炉法)のエネルギー効率国際比較

日本鉄鋼業は地球温暖化対策における国際連携の重要性を早くから認識し、日本で開発・実用化した省エネ技術を、既に様々な国に移転し、地球規模でのCO2削減に貢献しています。これまでに普及したコークス乾式消火設備(CDQ)、高炉炉頂圧発電(TRT)などの主要設備だけでも、中国、韓国、インド、ブラジルなどで、合計約7,264万トン/年CO2のCO2削減となりました。

各国が導入した日本の省エネ設備による削減効果(2020年度断面)

設置基数
(基)
削減効果
(万t-CO2/年)
CDQ(コークス乾式消火施設)※1 128 2,581
TRT(高炉炉頂圧発電)※2 64 1,129
副生ガス専焼GTCC※3 58 2,545
転炉OGガス回収 22 821
転炉OG顕熱回収 8 90
焼結排熱回収 7 98
削減効果合計 7,264
参考:2019年度断面のCO2削減効果は合計6,857万t-CO2/年

※1 CDQ : Coke Dry Quenching(コークス乾式消火設備)
※2 TRT : Top Pressure Recovery Turbines(高炉炉頂圧発電)
※3 GTCC : Gas Turbine Combined Cycle system

日本鉄鋼業は、引き続き積極的に技術の普及を進め、地球規模でのCO2削減に貢献します。
今後の世界における鉄鋼生産拡大に伴うTRT、CDQ等の主要省エネ設備の設置基数の増加と、増加分の内、日系企業による貢献について、鉄連で一定の仮定を置いて算定を行い、2030年には8,000万トン程度のCO2削減に寄与できると考えています。

※本試算は、現時点で移転・普及が可能な省エネ設備による削減ポテンシャルであり、今後、新たな技術が試算対象となった場合は、削減ポテンシャルが拡大する。

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