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鉄の軽さの秘密

1.鉄はどんどん軽くなる

鉄は社会のニーズの変化に応える最先端の技術開発により、どんどん強く、軽くなっています。例えば自動車用の高強度鋼板(超ハイテン)は普通鋼板の3倍の強さを達成しており、同じ強度を出すために必要な鋼材重量は3分の1にまで軽くなっているのです。

図表1:自動車用素材の強度あたりの比重

自動車用素材の強度あたりの比重

出典:アーサー・D・リトル:重要技術分野に関する技術動向等調査成果報告資料(2014)を一部改編

しかも、鉄の理論強度は現在の鉄鋼製品の2〜10倍と言われています。鉄はさらに軽くなる可能性を秘めています。

図表2:鉄の強度の歩み

鉄の強度の歩み

出典:日本製鉄(株)

2.鉄は軽やかに再生する

鉄は製品としての寿命が終わっても、何度でもよみがえる素材です。鉄のみが磁石に付くため、世の中の鉄のほとんどが鉄スクラップとして回収されており、ほぼ100%鉄に再生利用されています。

図表3:鉄の軽やかな再生・循環

 

しかも、鉄は酸化精錬という工程で簡単に不純物を取り除くことができます。

図表4:酸化精錬による不純物の除去

酸化精錬による不純物の除去

出典:平木岳人他:第23回廃棄物資源循環学会研究発表会(2012) 23.269を改編

鉄は、何度でも何にでも「軽やか」に生まれ変わる素材であり、このように簡単にリサイクルできる工業素材は他にありません。鉄はリサイクルの王様です。

鉄はリサイクルの王者(チャンピオン)

3.鉄は、環境負荷を軽くする

WorldAutoSteelの調査によれば、鉄は、重さあたりで比べても、機能(強さ)あたりで比べても、じつは造るときに発生するCO2が少ない素材です。鉄はコスト的にも機能的にも優れた基礎素材であるため、ビル、橋、自動車、船、容器などあらゆるところで使われます。
世の中で必要とされる量が多い、つまり生産量が多くなることから、鉄鋼業全体ではCO2排出量が多くなります。

しかし、鉄が社会で果たす役割を他の素材で代替しようとすると、多くのケースでCO2排出量は大幅に増加します。
鉄は社会を支えるとともに地球の環境負荷を軽くしているのです。

図表5:自動車用素材の製造時のCO2排出量(重さあたり)

自動車用素材の製造時のCO2排出量(重さあたり)

出典:WorldAutoSteel:Aviation and Auto Sectors Look to Lightweightingを一部改編

図表6:自動車用素材の製造時のCO2排出量(等価機能部品あたり)

自動車用素材の製造時のCO2排出量(等価機能部品あたり)

※アルミニウムは中国を除く世界平均値を使用

出典:WorldAutoSteel:Aviation and Auto Sectors Look to Lightweightingを一部改編

鉄は1.で述べたように製品使用時も軽量化により環境負荷を低く抑えています。さらに軽量化だけではなく様々な高機能鋼材(エコプロダクト)で環境負荷を軽くし、CO2排出削減に貢献しています。

参考:日本鉄鋼連盟 エコプロダクト

さらに、WorldAutoSteelの調査によれば、2.で述べた軽やかなリサイクルも含めた、製造、使用、リサイクルすべての段階を含めたライフサイクル全体でみると、鉄は環境への負荷がとても「軽い」素材です。

図表7:ガソリン自動車における各素材のLCA

ガソリン自動車における各素材のLCA

出典:WorldAutoSteel:Comparing Material Usage in Production Vehicle Efficient Designsを一部改編

図表8:電気自動車における素材の違いによる生涯エネルギー消費量

電気自動車における素材の違いによる生涯エネルギー消費量

出典:WorldAutoSteel:Battery Electric Vehicle Life Cycle Energy Aluminium vs. AHSSを一部改編

鉄はじつは軽いのです!

参考情報:鉄は軽い.comはこちら

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