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リサイクルの種類

私たちの生活を支える自動車や家電製品、飲料容器、建築物などがその役割を終えると、それらの製品を構成している素材は、様々な運命をたどることになります。一部の素材はそのまま埋め立て処分されますが、多くの素材は様々な形でリサイクルされています。素材のリサイクルには大きくオープンループリサイクルとクローズドループリサイクルの2種類があり、オープンループリサイクルはさらに熱回収とカスケードリサイクルに分けることができます。

オープンループリサイクル(熱回収、カスケードリサイクル)が直線的なリサイクルであるのに対して、クローズドループリサイクルは真の閉じたループ(クローズドループ)を形成するリサイクルであり、新たに投入される天然資源消費量の削減、さらに環境負荷物質排出量の低減、廃棄物の削減が図られることから、オープンループリサイクルよりも持続可能性(サステナビリティー)の点で優れています。

図表1:リサイクルの種類

持続可能なリサイクルの要件

出典:日本製鉄(株)

 

  • @熱回収(オープンループリサイクル)

    廃棄物を焼却して容積を減らすとともに、発生する熱を回収して電力や温水に利用するリサイクルです。燃料の代替になりますが、燃え残った燃焼灰などの廃棄物処分が必要となります。元の素材に戻るわけではないので、ループが閉じていないリサイクルであるオープンループリサイクルの一種です。

    日本では可燃物は主にこの方法で処理されています。

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  • Aカスケードリサイクル(オープンループリサイクル)

    素材として再利用するリサイクルですが、性質の劣化・変化を伴うため、元の素材に戻ることはないオープンループリサイクルです。素材の性質をそのまま再利用するマテリアルリサイクルと、分解して別な用途の原料として利用するケミカルリサイクルがあります。どちらも有限回のリサイクルで、最終的には埋め立て等の形で廃棄処分されます。

    アルミ、プラスチックや化学繊維類の一部はカスケードリサイクルされています。

    ※マテリアルリサイクルのなかでも、劣化を抑えるために同じ成分の製品だけを選別して元の素材にリサイクルすることを、水平リサイクルと呼びます。ただし、他成分を除くことはできないので、厳密な選別管理が必要です。

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  • Bクローズドループリサイクル

    素材として再利用するリサイクルで、不純物除去をすることにより、成分毎の厳密な選別管理をしなくても、同じ素材にリセットして無限に循環利用されるリサイクルです。

    鉄鋼はクローズドループリサイクルされている素材の代表選手であり、特に磁石にくっついて回収、選別が簡単に行えるため、非常に高いリサイクル率(*1)でクローズドループリサイクルされています。

    (*1)例えば日本の自動車用鋼材の見掛リサイクル率は97%〜89%(図表2)、スチール缶のリサイクル率は89%〜93.3%という高い水準で推移しています(図表3)。

     

図表2:日本の自動車用鋼材の見掛リサイクル率

出典:日本自動車工業会、財務省貿易統計、自動車リサイクル促進センター

・鉄鋼材料の場合、自動車リサイクル処理プロセスでほぼ完全に回収される。
・なお、パーツとして国内外で利用されるものもあると推定されるため、実際のリサイクル率はさらに高いものと推認される。

図表3:スチール缶のリサイクル率

出典:スチール缶リサイクル協会

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