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鉄鋼業界の取り組み②
life cycle inventory data

概要

データの詳細

概要

日本鉄鋼連盟は下記worldsteel LCI プロジェクトと連携し、ISO14040 規準に準拠し、網羅性、代表性、並びに透明性の高いLCIスタディーを行いました。ここに開示するデータはworldsteelによって確立されたLCA手法(worldsteel LCA methodology)により、世界の鉄鋼業の共通の基準・手順にしたがってデータを収集しLCI分析を行った結果です。日本鉄鋼連盟内では技術政策委員会LCA検討WGにおいて、2014年度の操業実績データを収集し各鉄鋼製品別のLCIを作成しました。

World Steel Association LCIスタディーの概要

目的

・世界的な鉄鋼製品のLCIデータを作成する
・ベンチマーキングや環境改善活動を支援する
・環境影響評価を実行するための基準を提供する
・顧客から要請されるライフサイクルに関連した情報を入手する
・関係者とのコミュニケーションを支援する
・LCAにおける人材育成をおこなう
現在、世界鉄鋼協会(World Steel Association: worldsteel)では日本を含め世界44社、130事業所(2016年12月時点)が参加しデータを収集し、LCIデータを作成するプロジェクトを実施しています。worldsteelでは作成したLCIデータは世界平均として、要望に応じて提供する予定です。

データの詳細

機能と機能単位

機能単位(Function Unit)は、システムのインプットとアウトプットの定量化と規格化を可能とするため、製鉄所出口での鉄鋼製品1kg としました。
LCI は鉄鋼製品品種ごとに行いました。以下では、今回開示する品種のみについて記述します。調査は表に示す品種について行いました。 各品種内でのサイズ範囲、寸法、メッキ膜厚み、強度など詳細な仕様は実際の製造においては様々ですが、今回の調査では測定年度の平均値となっています。

 

品目名

仕様

主な用途

1

熱延鋼板

熱間圧延された厚さ3mm未満の切り板(熱延薄板)や帯鋼、広幅帯鋼を熱延薄板類と呼びます。板幅600mm未満でコイル状に巻き取ったものを熱延帯鋼、600mm以上のものを熱延広幅帯鋼と呼びます。板幅は最大で2,300mm近くある。

大型自動車車両、鉄道車両、各種容器、橋梁、屋根材、ガードレールなど

また、冷延鋼板類や表面処理鋼板、溶鍛接鋼管、軽量形鋼などの素材として使用される。

2

酸洗鋼板

熱延鋼板を酸で洗い表面のスケール(錆)を取り除いたもの。

大型自動車車両、鉄道車両、各種容器、橋梁、屋根材、ガードレールなど

また、冷延鋼板類や表面処理鋼板、溶鍛接鋼管、軽量形鋼などの素材として使用される。

3

冷延鋼板

酸洗鋼板を常温で薄く圧延したもの。

自動車、電気機器、鋼製家具など

ブリキや亜鉛めっき鋼板などの素材として使用される。

4

焼鈍鋼板

冷延鋼板から焼鈍工程経て生産される。結晶の制御を行うなどし、成形性が向上するなどの効果が得られる。

自動車、電気機器、鋼製家具など

ブリキや亜鉛めっき鋼板などの素材として使用される。

5

電気亜鉛メッキ鋼板

表面に亜鉛をめっきし、耐食性にすぐれた表面処理鋼板。

電気めっき層でめっきを行う

自動車、建築など

6

溶融亜鉛メッキ鋼板

溶融亜鉛に浸漬し製造したメッキ鋼板

自動車、建築など

7

ティンフリー鋼板

塗料、フィルムなどの接着性がよい

ブリキ鋼板と同様に使用される。

食缶、飲料缶など

8

ブリキ鋼板

錫めっきを施した鋼板。耐食性を持ち加工性に優れる。

食缶、飲料缶など

9

塗装鋼板

塗膜により耐疵付性、対汚染性など機能を付加したもの。

家電製品、建築など

10

厚板

板厚6mm以上の熱間圧延した鋼板。

船舶、海洋構造物、建築、橋梁、タンク・圧力容器、各種プラントなど

11

UOパイプ

厚板をプレスし、溶接して製造した大径管

石油・ガスパイプライン

12

電縫管

鋼板を筒状に成形し溶接した中小口径管。

自動車管、構造管、プラント用鋼管、ラインパイプなど

13

形鋼

目的にあった断面形状がさまざまな鋼材。H形鋼や山形鋼、I形鋼などを総称。

建築、橋梁、岸壁、船舶、車両など

14

棒鋼

棒状の鋼材。建設現場で使用される鉄筋材や機械や船舶などの構造材として使用される

建築、機械など

15

線材

断面の直径が5mmから50mm程度の熱間圧延により線状に成形された鋼材。

鉄線、針金、線バネ、タイヤ芯などの素材

16

特殊鋼

合金元素を添加することで、硬度、強度、粘り強さ、耐磨耗性、耐熱性、耐食性などの特性を持たせた鋼材。

自動車、工具など

システム境界

原料採掘から鉄鋼製品の出荷までを調査範囲としました。つまり鉄鋼製品製造システムは、製鉄所で使用される原料、エネルギー源、消費材の生産と輸送を含む全ての製鉄所内の活動および主な上流工程プロセスを極力包含するものとしています。しかし、以降の下流工程での最終製品の組立・製造、その製品の使用などは含んでいません。
鉄鋼製品はそれを使った最終製品(自動車など)の寿命が尽きた後、スクラップとして回収され、再び新たな鉄鋼製品の原料として利用されます(closed-loop recycling)。このため、スクラップリサイクルもシステム境界に含まれます。
インベントリーデータとして記載したインプットは、マテリアルフロー最上流の「天然資源」であり、製鉄所等で直接使用している「製品」ではありません。また、鉄鋼副産物の製鉄所外での回収と利用はシステム拡張法によって評価しました。


システム境界

データ品質

製鉄所データ

基本的に、測定、計算、購買記録をもとにデータを収集しました。


上流工程データ

一般に、製鉄所に入る前の上流工程や副産物利用などの鉄鋼業以外のプロセスデータはその分野専用のLCI データベースや文献に頼りました。
基本的にはthinkstep社が提供するGaBiのデータを使用しています。


データ収集時期

2014年4月1日〜2015年3月31日の操業実績データを収集しました。


地理的範囲と代表性

この調査に参加した企業は粗鋼生産ベースで日本鉄鋼生産の約85%を占め、日本を代表するデータということができます。

参加会社 (五十音順)

愛知製鋼株式会社、株式会社伊藤製鐵所、大阪製鐵株式会社、共英製鋼株式会社、合同製鐵株式会社、株式会社神戸製鋼所、山陽特殊製鋼株式会社、JFE条鋼株式会社、JFEスチール株式会社、清水鋼鐵株式会社、新日鐵住金株式会社、大同特殊鋼株式会社、東京鋼鐵株式会社、東京鐵鋼株式会社、トピー工業株式会社、日新製鋼株式会社

平均値の作成

複数社のデータについて同一プロセスごとに集計してから各製品のLCIを求めることで生産量を考慮した平均値としました。

方法論の前提、および副産物の取扱い

個別の項目に関しての特記事項


電力

グリッドから調達した電力については日本の2013年のデータをLCIデータベースから採用しました。


事前処理された原料

コークス、焼結鉱、ペレットなどの事前処理された原料を外部より調達し使用する場合はそれぞれの世界平均値を割り当てました。


外部輸送

各原料の代表生産地(鉄鉱石ブラジル、石炭オーストラリア)と日本の代表受入地(名古屋)間の船舶輸送を前提とし、輸送距離を決定しました。またスクラップ輸送に伴う負荷も含まれます。


副産物の取り扱い

多品種生産システムでは、それぞれの製品毎にシステムのインプットおよびアウトプットと関連づけて配分規則を決定しなければなりません。 鉄鋼製品の生産過程においては様々な副産物が生産され有効利用されています。
ISO 14044:2006 (4.3.4.2)では、副産物に対する負荷配分(アロケーション)を極力回避するため、生産物ごとにプロセスを分割することが推奨されています。しかし、鉄鋼生産に伴って生み出される副産物は、鉄鋼製品と同一プロセスで生産されプロセスを分けることができません。このため、本LCIデータではこれら副産物に対して、プロセス分割が不可能な場合にISO14044:2006 (4.3.4.2)で推奨されているシステム拡張法を使用しました。各副産物の拡張されたシステムは以下の通りです。各拡張システムにおいては、副産物の利用によって代替されるインプットならびにそれに伴うアウトプットを評価しました。
高炉スラグ:路盤材製造、セメントクリンカ製造、肥料製造
転炉スラグ:路盤材製造、セメントクリンカ製造、肥料製造
電炉スラグ:路盤材製造、セメントクリンカ製造、肥料製造
副生ガス(COG、BFG、LDG):副生ガス供給先の発電または日本の電源構成にのっとった発電

データ形式について

スクラップリサイクルを加味したデータを提供しますが、modularity principleを利用した用途への使用の可能性を考えLCIを3つのコンポーネントに分けて提供します。


データ形式について

Figure 1 データ構成要素イメージ図
鉄鋼製品はそれを使った最終製品(自動車など)の寿命が尽きた後、スクラップとして回収され、再び新たな鉄鋼製品の原料として利用します(closedーloop recycling)。本LCIデータではスクラップリサイクル(回収および利用)による効果も評価範囲としています。スクラップは鉄鋼製品製造に必要な資源を代替することから、この代替効果をスクラップのインベントリーとします。
スクラップインベントリー(ScrapEI)=(天然資源100%によるインベントリースクラップ100%によるインベントリー)×スクラップ対製品歩留
スクラップの負荷、クレジットの算定のためのスクラップのインベントリーはworldsteelによる2010年のデータコレクションプロジェクトに基づいた理論計算によって算定された値を用いました。(詳細はworldsteel-LCA方法論


A+B1+B2スクラップリサイクルを反映した鉄鋼製品LCI
A スクラップリサイクル効果を考慮しないcradle to gateインベントリー
B1 スクラップ利用に伴うバーデン=スクラップEI×スクラップ利用量÷製品量
B2スクラップ回収に伴うクレジット=−スクラップEI×スクラップ回収率
なお、スクラップリサイクル効果は回収と利用が不可分であり、A+B1あるいはA+B2という評価は行いません。

 

スクラップリサイクルを反映した鉄鋼製品LCI

スクラップリサイクル効果を考慮しないcradle to gateインベントリー

スクラップリサイクル効果

スクラップ利用に伴うバーデン

スクラップ回収に伴うクレジット

 

A+B1+B2

A

B1

B2

例[kg]

60

100

20

-60

リサイクル率について

LCIを計算するに当たって、リサイクル率が必要になります。しかし、鉄鋼製品は社会のさまざまな用途に使用され、実際にスクラップとなるまでには1年など短期間のものから数十年のものまで幅広く存在します。そのため、過去に製造された鉄鋼製品が最終的にどれだけ回収され再利用されたかを算定することは困難です。
本スタディーでは生産された鋼材がスクラップとして回収される割合をリサイクル率として求めました。
リサイクル率=(加工スクラップ回収量+EoLスクラップ回収量)/鋼材生産量
加工スクラップ回収の実績から加工歩留を算定し、加工スクラップ回収量を推定しました。また、最終製品が廃棄された後EoLスクラップとして回収される割合は信頼できる入手可能な数値としてスチール缶リサイクル率を使用し、EoLスクラップ回収量を推定しました。計算には2014年度の統計値を使用し、リサイクル率を93.1%と推定しました。

注意点など

計算条件などが異なるため、他のデータベースの鉄鋼データや他素材とのデータとは比較可能性はありません。
あくまでも鉄鋼製品ごとにデータを整理したため、製鉄所からの排出量を算定する目的には使用できません。同様に、プロセスの評価に使用することにも適していません。
測定可能なデータまたは推定可能なデータから作成されたため、評価できるインベントリー項目には限界があります。
このデータを使用して発生する直接あるいは間接の損害について、当連盟は一切責任を負いません。

データ請求について

日本鉄鋼連盟では、鉄鋼製品を使用した製品のLCAなどを行う方にLCIデータを提供します。


LCIデータを使用したい方はフォームに記入の上、kankyou1@jisf.or.jpまでお送りください。

[プライバシーポリシー]
データ使用上の注意点を承諾し、LCIデータの使用を希望します。

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