「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP)
第1回閣僚会合の概要
「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP)は、2005年7月に米国主導によって立ち上げられたアジア太平洋地域協力のパートナーシップであり、日本、米国、豪州、韓国、中国、インドの6ヵ国が参加しています。アジア太平洋地域において増大するエネルギー需要に対応するとともに、環境汚染、エネルギー安全保障、気候変動問題へ対処することを目的とし、具体的には、クリーンで効率的な技術の開発・普及・移転のための地域協力を推進することとしています。2006年1月11日および12日に豪州のシドニーにおいてAPP第1回閣僚会合が開催されました。
日程
2006年1月11日(水)〜12日(木)
会場
フォーシーズンズ・ホテル(豪州シドニー)
参加者
APP参加6ヵ国(日本、米国、豪州、韓国、中国、インド)の外務、エネルギー、環境を担当する閣僚に加え、民間から幅広い産業界のCEOクラスも参加しました。 わが国鉄鋼業界を代表し、環境・エネルギー政策委員会 関澤委員長(新日本製鐵代表取締役副社長)ならびに鉄鋼連盟 市川専務理事が出席しました。
主要会合
11日(水) ・ ビジネス対話(閣僚と産業界との対話)
12日(木) ・ 閣僚円卓会合(閣僚による会合)
・ 政策実行委員会(政府関係者によるステアリングコミッティ的会合で、今次会合は産業界も参加)
会合の目的
本パートナーシップについて、エネルギー、環境技術の地域協力の推進に政治的モメンタムを与えると共に、官民の対話を通じて具体的な協力分野、取り組み内容、作業日程等に関し合意を得ることを目的としています。
会合の概要
- ● 今次会合では、人口、GDP、エネルギー消費、CO2排出量などで見て世界の約半分を占める主要6ヵ国のエネルギー、環境担当閣僚と、幅広い産業分野のCEOクラスの代表が一堂に会し、増大するエネルギー需要への対応、気候変動問題など、アジア太平洋地域が直面する課題の解決に向けて対話を行いました。ここでの検討は、地域共通の課題に官民が協力して取り組むという歴史的に見ても新しい試みの第一歩として位置づけられました。
- ● ビジネス対話においては、APPの枠組みで行う活動について、閣僚及び産業界代表がそれぞれの見解を表明し、 エネルギー・環境技術の開発・普及・移転を促進するための官民貢献について意見交換を行いました。特に産業界代表からは本パートナーシップへ積極的に貢献しようという前向きな姿勢が示されました。
- ● 閣僚円卓会合ではビジネス対話での議論を踏まえ、APP推進に向けた政治的意志が確認されるとともに、8つの協力分野とそれぞれの分野の協力を具体化した作業計画の合意という成果に結実しました。
- ● なお、本パートナーシップは、気候変動枠組条約と整合的であり、京都議定書を代替するのではなく、補完するものとして位置づけられています。
日本鉄鋼業の主張
ビジネス対話において、わが国鉄鋼業からは地球温暖化に対する取り組み概要等に関し、以下のポイントを主張しました。
- ● 官民各主体の参加、特に中国鉄鋼業参加の重要性。
- ● 日本の経験としてPDCAのプロセスを適用し実効性が立証されている自主行動計画の意義。
- ● 日中鉄鋼業の交流会を例に、鉄鋼業の国際連携と地球規模での削減ポテンシャルの大きさ(既存技術の普及効果に軸足を置いた取り組みの重要性)。
- ● 当面、行動すべきことは特定できており、その削減ポテンシャルを現実のものとするための行動すなわち既存技術普及のためには、政府の強力なイニシアティブが必要であること。
- ● これらの行動は、各産業の社会的責任を果たすために実施されるべきものであり、CO2価格のインセンティブで行われるものではないこと(他国の再生可能エネルギー関係メンバーからは、CO2に経済価値を付加することを希望する意見も多くありました)。
結 論
- ● 鉄鋼を含めた8つのタスクフォース 1)よりクリーンな化石エネルギー、2)再生可能エネルギーと分散型電源、
3)発電及び送電、4)鉄鋼、5)アルミニウム、6)セメント、7)石炭鉱業、8)建物及び電気機器)の設立と、その協力内容を記述した作業計画が合意されました。 - ● 各タスクフォースは、官民参加で正式メンバーとしては1ヵ国4名程度から開始することとし、進め方等の詳細は各タスクフォースに任されました。なお、タスクフォース議長は行政からの就任となり、民間からのメンバーは当該産業全体を代表するものとされています。
- ● 各タスクフォースの議長国は下表のとおりであり、日本は、鉄鋼とセメントのタスクフォースをリードすることになりました。
タスクフォース | 議長国 | 副議長国 |
---|---|---|
Cleaner Fossil Energy よりクリーンな化石エネルギー |
豪州 | 中国 |
Renewable Energy and Distributed Generation 再生可能エネルギーと分散型電源 |
韓国 | 豪州 |
Power Generation and Transmission 発電及び送電 |
米国 | 中国 |
Aluminum アルミニウム |
豪州 | 米国 |
Cement セメント |
日本 | ― |
Coal Mining 石炭鉱業 |
米国 | インド |
Buildings and Appliances 建物及び電気機器 |
韓国 | 米国 |
- ● 各タスクフォースは、2006年中に2〜3回の開催が想定されており、各タスクフォースでは、2006年中頃までに作業詳細計画などを確定する予定です。
以 上