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A 2-1
- 建築基準法の改正後も、多くの行政庁等が冷間成形角形鋼管柱の設計において「冷間マニュアル改訂版」により設計・施工するよう指導しています。今後共、同マニュアルを運用する行政庁は増加するものと思われます。
- 確認申請他の行政的扱いや同マニュアルの扱われ方に関しては、各行政庁、確認検査機関にお問い合わせ下さい。
A 2-2
- 柱はり耐力比1.5以上確保する必要があるのは、設計ルート2に限られます(ただし、最上層の柱頭、最下層の柱脚は除く)。設計ルート2の場合は、各節点において柱はり耐力比1.5以上を確保する必要があります。
- 設計ルート3で崩壊型の判別などを行う場合で、BCR、BCPを使用する際には柱はり耐力比1.5以上を必ずしも満足する必要はありません。ただし、STKRに関してはルート3においても節点ごとに柱はり耐力比1.5以上を確保する必要がありますのでご注意ください。
関連:Q 2-13
A 2-3
-
冷間マニュアル改訂版には、柱はり耐力比の影響因子として以下の5つが挙げられています。
a) 斜め入力の影響:√2
b) 斜め方向の断面性能:1/0.94
c) 床スラブとの合成効果によるはり耐力上昇:1.25
d) 高次モードの影響:1.3
e) 鋼材の降伏点のばらつき:1.15
柱はり耐力比の要求数値に影響する因子は、すべて同時に影響するものではありません。1996年発行の冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル(以下、旧マニュアル)でも述べているように、総合的に判断された数値として1.5を採用しています。
関連:Q 2-2
(ビルディングレター’04.4抜粋)*
A 2-4
- BCPは角部のみ塑性加工を受けているのに対し、BCRは平坦部も塑性加工を受けているため差がついています。
- さらにSTKRは、降伏点の上限値、降伏比、シャルピー衝撃値、溶接性の規定がなく、化学成分上もBCR、BCPと比較し緩やかなため、柱応力割増係数などがこれら鋼種より大きな値となり、不利な設計が強いられます。
- また、STKRの場合、設計ルート2でも、最終的には塑性ヒンジとなる最下階柱脚部に柱応力割増係数を用いることとし、ルート3では最下階の柱脚と最上階の柱頭のみ塑性ヒンジとなる全体崩壊のみを許容しています。
関連:Q 1-3、1-5
A 2-5
- 柱はり接合形式による違いは、地震時に柱端に発生する歪はコラム内面側よりも外面側の方が大きいため、発生歪の大きいところに形状的及び材質的に不連続な溶接部がくる場合をより厳しい係数としているからです。従って、コラム角部外面側に溶接線が現れる通しダイアフラム形式と外ダイアフラム形式よりも、一体の柱をそのまま使用し、溶接線がコラム内面側にある内ダイアフラム形式の方が有利になるように係数が規定されています。
- ただし、パネル中央部で切断する落し込み方式の内ダイアフラムは、溶接作業条件が悪い等の理由で、通しダイアフラムなどと同等の扱いになっています。
A 2-6
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冷間マニュアル改訂版では、床スラブとはりの一体化による耐力上昇、斜め入力、降伏点のばらつき等のファクターを考慮して柱はり耐力比を1.5以上と設定しております。従って、ルート2及びルート3のどちらの設計ルートにおいてもはりの耐力はH形鋼のみの耐力を用いて差し支えありません。
A 2-7
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柱板厚が余程大きくない限り、はりウェブの軸方向応力がすべて柱に伝達されることはありません。この問題ははりの問題と柱の問題に分けて考える必要があります。設計上の安全側の対応として次のように考えます。はりウェブの有効幅等を算出困難な場合には、1次設計での応力算定では、はりウェブを無視します。柱はり耐力比においては、はりウェブはすべて有効とみなします。また保有耐力計算でのはり端保有耐力としてははりウェブを無視します。
A 2-8
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最上階の場合には 柱上部に塑性ヒンジが発生しても 崩壊型に影響しませんが、中間層の場合には 局部崩壊になる可能性があります。中間層に柱がない場合、耐力“0”の柱があるものとして設計する必要があります。もし柱はり耐力比が1.5以上を確保することが困難であれば、ルート3の設計法を適用しなければなりません。
A 2-9
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大手の汎用構造計算ソフト全てに「冷間マニュアル改訂版」の設計法が反映されております。
A 2-10
- 通しダイアフラム形式に使用するダイアフラムの材料は梁材及び柱材の強度と同等かそれ以上のものとし、板厚方向に大きな力が加わることから、鋼種は原則としてSN材のC種になっています。従って、柱がBCRの場合、ダイアフラムは強度上SN490Cとなります。BCPの場合は同一強度のSN材のC種となります。
- ただし、ダイアフラムの出寸法が「冷間マニュアル改訂版」に記載されている長さを満足し、同マニュアルに従って溶接する場合にはダイアフラムの材質がSN材のB種でも充分性能を確保できます。
A 2-11
- ダイアフラムの板厚を決定するオーソライズされた設計式は現在ありませんが、ダイアフラムで必要な強度は、梁フランジ及びはりウェブの一部の存在応力を柱ウェブに伝達することから決定されます。この観点から一般的にダイアフラムは、材料強度が梁フランジと同じ場合、梁フランジの板厚では不足となります。もちろん食い違いが発生し、溶接接合部の耐力が不足することを避けなければならないことも考えますと、梁フランジの板厚が40mmの場合、ダイアフラムは50mm程度となりますが、50mmの板厚の場合、基準強度が40mmの板厚のものより低くなることから、TMCP材をダイアフラムに用いることになります。
- 一方、ダイアフラムの材質はC種が原則です。前項Q2-10で補足しているように「冷間マニュアル改訂版」には、ダイアフラムの出寸法の規定を満足し、同マニュアルに従って溶接する場合にはダイアフラムの材質がSN材のB種でも性能を確保できる旨が記載されていますが、梁フランジ厚さ40mmのケースでは、柱部材も大型断面となり冷間成形角形鋼管と通しダイアフラムの溶接量も多く、溶接時の拘束も大きく、またダイアフラムの出寸法がダイアフラム板厚に対して小さくなることから、この場合は、ダイアフラムにC種を使用するべきです。
A 2-12
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平12建告第2464号において、外側曲率半径が板厚の10倍以下の曲げ加工を行った場合、加工した部分の機械的性質が加工前と同等であることを調べることが規定されています。現実的には、BCP製品以外に厚板を曲げ加工した加工品を建築構造用の柱材に適用することは困難と考えられます。それ故STKC((社)日本鋼構造協会規格)は、「冷間マニュアル改訂版」の適用対象外としております。
関連:Q 1-5
A 2-13
- この「冷間マニュアル改訂版」に従って設計すると、設計ルート2では鋼種に関わらず全ての節点(ただし、最下階の柱脚と最上階の柱頭は除く)で柱はり耐力比1.5以上が要求されますが、一般的にはこれを満足するのは困難であり、従来設計と比較して柱はサイズアップする場合が多くなります。
- しかしながら、BCR、BCPの場合、設計ルート3では「全体崩壊メカニズムまたは局部崩壊メカニズム」の崩壊メカニズムの判定を行うことになりますが、通常の建物プランであれば全体崩壊メカニズムとなり、従来通りの保有耐力設計を行えば良いという場合が多くなります。このため従来設計と比較しサイズアップすることは一般には生じません。
- 従って、経済設計をするためには設計ルート3の適用をお勧めします。
- 一方STKRの場合は、設計ルート2または3ではすべての柱はり節点(ただし,最下階の柱脚と最上階の柱頭は除く)で柱はり耐力比1.5以上を満足する必要があること、またルート1では地震時応力割り増し係数1.3以上の規定があることより、従来設計よりサイズがアップし、柱重量が2〜3割増加する場合が多くなります。
- なお、□-200mm未満のサイズはSTKR鋼種のみですが、同マニュアルの対象外となります。
関連:Q 2-2
A 2-14
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ルート2設計において、柱がSTKR材の場合、最下階の柱下端の地震時応力に割増係数を乗じて許容応力度の検討を行いますが、柱脚が露出形式については通しダイアフラム形式の接合部と同じ割増係数値1.4を用います。また、柱脚が埋込み形式または根巻き形式については許容応力度検討対象箇所に溶接線がないため1.3を用いてよいかと思いますが、構造ソフト等では一律1.4で計算しているようです。
関連:Q 2-5
A 2-15
- 「建築物の構造関係技術基準解説書」の「鉄骨造に関する技術慣行」では、建築構造用鋼材としてSN材相当の性能を有することが望ましい旨が記載されています。
- また、「冷間マニュアル改訂版」の設計思想である、極力柱崩壊を避けはり崩壊などの全体崩壊型を確保するという点では、はりに対してより多くの塑性変形能力が要求されることになります。また、はりの実降伏点のバラツキが小さい方が良く、さらに溶接部の品質が確保されることなどが必要となります。従って、柱材の性能と梁材の性能の整合性を取るためにも梁材には、SN材のB種を使用することが適切と考えられます。
- なお、「冷間マニュアル改訂版」では、通しダイアフラムに関してはSN材のC種またはB種を用いる旨が記載されています。
関連:Q 1-5
A 2-16
- 「冷間マニュアル改訂版」では、冷間コラムの用途は建物の柱材を適用範囲としています。BCR、BCPを柱材以外の筋かい材、トラス材等に使用する場合は、STKR同様に構造関係技術基準解説書に基づいて設計することになります。必要性能を考慮して設計する必要がありますが、塑性化する部位や、溶接接合する部位には、BCR、BCPを用いることがより適切であると思われます。
A 2-17
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冷間コラムをCFT柱(コンクリート充填鋼管柱)に使用する時は、「冷間マニュアル改訂版」に規定される設計法及び施工法を適用します。一般事項等詳細については(社)新都市ハウジング協会「CFT造 技術指針・同解説」により設計することになります。この指針では、BCR、BCP、STKR等の冷間コラムが適用規格材として規定されておりますので、CFTにも適用可能です。
A 2-18
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以前の日本建築学会「鋼管構造設計・施工指針」にはダイアフラムの板厚を大きくする方法がありましたが、「冷間マニュアル改訂版」では、板厚の大きいダイアフラムを使用し、サイズ変更を行う方法については触れていません。このような接合部の強度についての研究はありますが、変形能力についてオーソライズされたものがなく、同マニュアルに適用しませんでした。今後の研究が待たれます。また、告示1464号での食い違い・ずれは、食い違い及びずれの無い場合を前提にして設計したものを対象としており、接合部上下で柱サイズが異なる様な場合は、告示1464号の対象とはなりませんが、設計段階で その安全性を確認する必要があります。
A 2-19
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技術的には「冷間マニュアル改訂版」を準拠することは可能ですが、実際には仮設建築物の構造計算は法令の適用範囲外(法第88条、令第147条)であるため、仮設建築物への同マニュアル改訂版の適用に関しては、建設現場管轄の建築主事の判断に従って下さい。
(ビルディングレター’04.4抜粋)*
A 2-20
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このような場合、柱耐力がはり耐力を下回る可能性が高くなり望ましいとは言えませんが、一部分の柱はり接合部で、やむを得ず、梁フランジ幅が柱幅よりも大きくなる場合は、構造全体としての耐震安全性を確認するとともに、加工上の注意が必要です。例えばダイアフラムが大きくなると溶接による変形が大きくなるため、エンドタブ近傍の溶接部に品質上の問題が生じる可能性が高くなり、注意が必要です。
A 2-21
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軸力を考慮した柱の全塑性モーメント(MPC)に柱耐力低減率を掛けたものを用います。
A 2-22
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下段階の柱頭は、ルート2設計時には最上階として扱い柱はり耐力比の検討は不要です。ルート3設計時には中間階として扱い、崩壊型の判定を行います。詳しくは「冷間マニュアル改訂版」のP29をご参照下さい。