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A 1-1
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次の2つの製品規格があります。
1)JIS規格:JIS G 3466「一般構造用角形鋼管」
2)日本鉄鋼連盟製品規定:BCR、BCP「建築構造用冷間成形角形鋼管」
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製品記号:BCR295(ロール製品)
BCP235、BCP325、BCP325T (プレス製品)
- 「冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル(改訂版)」(以下、冷間マニュアル改訂版と略す)では、上記規格 1)及び 2)の材料を対象としています。
関連:Q 1-2、1-3、1-5
A 1-2
- SN材に相当する建築構造用として規格化された高品質・高性能な冷間成形角形鋼管(以下、冷間コラムと略す)です。
- BCRは「建築構造用冷間ロール成形角形鋼管」、BCPは「建築構造用冷間プレス成形角形鋼管」で、共に国土交通大臣の認定品です。また、BCP325Tは「建築構造用高性能冷間プレス成形角形鋼管」で、同様に大臣認定品です。
- BCR、BCPという名称は、ボックスコラム(角形鋼管)=Box Columnの頭文字の「BC」と、製造方法を表わす「R」=Roll成形、および「P」=Press成形を組合わせたものです。また、BCP325Tの「T」はToughnessの頭文字をとっております。
関連:Q 1-3、1-4
A 1-3
- Q 1-2で記した製造方法の違いに加え、BCRでは引張強度が400N/mm2(BCR295)の1鋼種に対し、BCPでは400N/mm2(BCP235)、490N/mm2(BCP325)の2鋼種と、構成が異なっています。なお、「295」、「235」、「325」といった数値は降伏耐力の下限値を示しています。
- 降伏耐力の下限値から、設計基準強度(F値)はBCR295が295N/mm2、BCP235が235N/mm2、BCP325及びBCP325Tが325N/mm2となっており、それに伴い幅厚比と構造ランクの関係も異なっています。同じ400N/mm2鋼でも設計基準強度が異なりますので、設計段階から鋼種を定められることをお勧めします。
- 降伏耐力上下限値の幅およびYR上限値などが規定されている板厚範囲で、BCRでは、それぞれ150N/mm2、90%、BCPでは120N/mm2、80%と異なっています。シャルピーの下限値規定は同じです。
- BCR295の降伏耐力下限値を従来より高い295N/mm2としたのは、BCRは製法上平坦部も冷間加工を受けており、降伏耐力、引張強度ともに上昇しているという製造実態と、降伏点の上下限値の幅を規定したいという設計者側の要求とを勘案し、さらに品質改善を検討した結果です。
- 形状的には、コーナーRが異なっておりBCRでは標準値が外R2.5t、BCPでは3.5tです。なおtは板厚を表しています。
- 製造範囲はメーカーによって異なりますが、BCRでは□200x6〜□550x22mm、BCPでは□300x9〜□1000x40mm、また、BCP325Tでは□300x12〜□1000x40mmが日本鉄鋼連盟製品規定となっています。
関連:Q 1-2
A 1-4
- 化学成分においてはSN材では規定していないN(窒素)の上限値を規定し、冷間塑性加工による時効硬化の影響を抑制しています。
- 機械的性質に関しては、BCPの辺部は冷間加工を受けておらず、母材からほとんど変化していないためSN材と同一です。BCRはQ 1-3で記したように、降伏耐力および引張強度の上下限値幅が150N/mm2、YR上限値が90%と異なっています。
- シャルピーの下限値規定(平坦部)は、BCR、BCPともSN材と同一です(0℃で27J)。但し、BCP325Tは平坦部・角部共0℃で70J以上を保証しております。
- 建築基準法の改正により、冷間での曲げ加工は外側曲率半径が板厚の10倍以下の場合、加工部の機械的性質が加工前と同等であることを確認することが必要ですが、BCR、BCPは角部の性能を考慮して大臣認定を受けた材料ですので確認は不要です。
関連:Q 1-3
A 1-5
- BCR、BCPはSTKRに比べ化学成分の規定項目が多く、溶接性能及び靭性がSN材と同等に確保されています。即ち、化学成分においてはC、P、Sの上限値が厳しくなっており、STKRには無いMn、SiおよびNの上限値が規定されています。
またCeq(炭素当量)の上限値も規定されており、溶接性が確保されています。
- BCR、BCPの機械的性質では、降伏点の上下限値、降伏比、及びシャルピ−衝撃値の規定が加わり、バラツキ幅が抑えられています。即ち、板厚12mm以上では降伏点(YP)および降伏比(YR)の上限値が規定され、更に板厚12mm超ではシャルピー衝撃値の下限値が設けられています。
- 寸法許容差では、BCR、BCPの板厚のマイナス公差は0.3mmです。また、コーナーRはメーカー間で標準化し、BCRが2.5t、BCPが3.5tとしてあります(tは板厚です)。
- 「冷間マニュアル改訂版」にはSTKRを用いた場合の設計法も記載されており、使用も可能です。ただし、同マニュアルによれば、STKRは溶接性、靭性、材料としてのバラツキ幅等の規定が無いことを理由にBCR、BCPよりも厳しい制約が付けられています。
A 1-6
- BCRはロール成形角形鋼管であり製法上平坦部も冷間加工を受けるため降伏点が上昇し、降伏点のバラツキが多少大きくなります。
- 主な使用部位が柱であることから、「冷間マニュアル改訂版」の設計思想である、柱崩壊を極力避ける(はり崩壊型などの確保)という観点に立てば、必要変形性能ははり材よりも小さくて済み、降伏点のレンジもはり材ほど重要ではありません。また、柱崩壊の可能性がある場合でも、柱耐力低減係数を適用しますので、安全性は確保されます。
- さらに、閉鎖断面であるために溶接接合が主で高力ボルト接合が少ないことから、降伏比は塑性変形能力上、柱として必要な値として90%が規定してあります。
- これらの機械的性質で規定されているBCRについて、実験でその保有性能は確認されており、BCP同様必要性能を十分満足しています。
関連:Q 1-10
A 1-7
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冷間コラムの角部の性能は、それらの製造に使用する素材により大きな影響を受けることになります。多くの実験結果を踏まえて、コラムとして必要な性能を保有させるため、BCR、BCPは、化学成分、機械的性質など特別に規定した素材を適用し、また、加工の際にも、角部の加工度を規定して製造しています。これにより、安定した角部の性能を実現しています。なお、BCPについては角部の靭性も保証したBCP325Tがあります。
関連:Q 1-6、1-10
A 1-8
- BCRはSN材のB種相当です。A種およびC種は、それらの使用部位に該当する場合がほとんど無いため、規格化されていません。
- BCPはSN材のB種およびC種に相当するものがあります。A種は、その使用部位に該当する場合がほとんど無いため、規格化されていません。
A 1-9
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冷間コラムはその製造過程で冷間塑性加工を受けます。冷間塑性加工により一般の鋼材では時効硬化(時間経過とともに硬く、脆くなる現象)が発生します。この現象は特に窒素量が多いと顕著になることから、窒素量を制限しています。
A 1-10
- 鋼材倶楽部(現 日本鉄鋼連盟)で実施した実大繰返し曲げ実験の結果では、BCR、BCP材は、STKR材に対して大きな変形性能を発揮しており、結果のバラツキも小さくなっています。
- 特に、幅厚比の小さい範囲では顕著であり、熱間成形材と同等以上の性能を発揮しています。
(参照:1998年度日本建築学会大会論文梗概集「斜め入力を受けた場合の建築構造用冷間成形角形鋼管の力学性状に関する研究」)
- ただし、冷間材に限った話ではありませんが、溶接施工を適切に行うことが前提となります。適切な溶接施工方法は「冷間マニュアル改訂版」に示されています。
- なお、日本建築センターの高層評価および鋼構造評価物件においてもBCR、BCPは採用されおり、その性能が評価されています。
A 1-11
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接合部のテーパー角形鋼管には、BCP対応テーパー管(BCP大臣認定品)があります。特に、パネル部分に使用する際には、耐震性能を確保する上で非常に重要な部位となりますので、大臣認定を取得した性能の安定した製品を使用することが肝要です。
A 1-12
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STKRは平12建告第1446号の別表第1に掲げる建築材料です。従って、建築物の主要構造部に適用することが可能です。同告示別表第2は別表第1に掲げられているJIS以外の材料の品質基準を示しているものです。
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鋼材はその性能に則して使用することが必要であるため、「冷間マニュアル改訂版」では性能に準じた設計法が示されています。
(ビルディングレター’04.4抜粋)
A 1-13
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BCP325Tは角部の靱性保証が必要とされる建築構造物に適用する冷間コラムが必要との要請を受けて開発されたものです。従って、BCP325Tは建築構造設計における要求性能に応じて適用される材料であり、将来共に、従来のBCP製品と共存することになると考えられます。
A 1-14
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BCP325Tの特性は、冷間コラムを製造する際に使用される厚板によって決定されます。冷間コラム製造に関する基本的な加工法は従来のBCP製品と同一であり寸法関連公差は従来製品と変わりません。
A 1-15
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BCP325Tは、平坦部はもとより角部の靱性が保証された冷間コラムです。又、BCP325Cは、耐ラメラーティア特性を保証された冷間コラムで、角部の靱性保証はありません。なお、BCP325Tに耐ラメラーティア特性を付与することも可能です(BCP325T規定)ので、各メーカーにお問い合わせ下さい。
A 1-16
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BCP325Tの製品規定ではコラムシーム部の靱性の要求値はありません。従ってコラムシーム部の靱性の保証は、原則としてありません。コラムシーム部の靱性は、ご要望に応じて保証することも可能です。詳細については各製造メーカーにお問い合わせてください。