ホーム >  ニュースリリース > トピックス >2020年新年賀詞交換会

トピックス

  一般社団法人日本鉄鋼連盟 2020年新年賀詞交換会は、1月7日(火)正午からホテルニューオータニにおいて、梶山弘志 経済産業大臣、加藤勝信 厚生労働大臣、小泉進次郎 環境大臣、武田良太 国土強靱化担当大臣、西村康稔 経済再生担当大臣、牧原秀樹 経済産業副大臣、佐藤ゆかり 環境副大臣、自見はなこ 厚生労働大臣政務官をご来賓にお迎えし、北野嘉久 会長〔JFEスチール社長〕、橋本英二 副会長〔日本製鉄社長)、山口貢 副会長〔神戸製鋼所社長〕、竹部幸夫 副会長〔三井物産副社長〕、岩田修一 副会長〔メタルワン社長〕が出席して開催され、約1,300名の参加を得て盛況裡に閉会しました。

2020年新年賀詞交換会 北野会長年頭挨拶

 新年明けましておめでとうございます。
 本日はご多忙の中、日本鉄鋼連盟の新年賀詞交換会に多数ご臨席を賜り、誠に有り難うございます。年頭にあたりましてご挨拶申し上げます。
 昨年の日本経済は、良好な雇用環境のもと、個人消費は緩やかに回復していたものの、海外経済の低迷や相次ぐ自然災害の影響から生産活動が減速し、足元では停滞感が強まっております。企業の設備投資も、企業業績の下振れから慎重姿勢が強まっております。
  一方、世界経済も、保護貿易主義の高まりを受け、欧州、中国に加え、インド、ASEAN等、主要国・地域経済が総じて減速し、先行きは不透明感を増しております。
  そうした中で、昨年の日本の鉄鋼需要については、自然災害からの復旧・復興関連の動き等から土木分野は堅調に推移したものの、国内製造業に目を向けると、自動車分野では海外市場の鈍化、昨年10月の消費税増税に伴う駆込み需要の反動減から弱含んでいるほか、機械関連でも外需の低迷により厳しい状況が続いております。

 このような情勢のもと、当連盟としての課題認識、主な取り組みについて6点、申し上げたいと思います。

 第一に、「安全衛生活動の一層の深化」について申し上げます。
  鉄鋼連盟では、安全を最重要課題の第一に位置付け、「安全は全てに優先する」との基本理念を掲げています。この理念のもと、共通の指針やマニュアルを作成し、全国大会や分科会等を通じて、会員各社の支援をして参ります。
  また、引き続き「製造業安全対策官民協議会」に積極的に参画して参ります。昨年はそこで得られた業種横断の知見を会員各社にフィードバックし、安全衛生活動の一層の水準向上を図ってまいりました。
  そうしたなかで、昨年の重大災害件数は前年と比べ微減となっておりますが、当連盟では引き続き労働災害の未然防止に向けた様々な取り組みを推進して参ります。

 第二に、「世界的な過剰生産能力の問題と通商摩擦」について申し上げます。
  まず、昨年10月26日に開催されたグローバル・フォーラム閣僚会合で、梶山経済産業大臣におかれては、ご就任早々にも関わらず議長として会合をリード頂くとともに、同日の成果を議長声明として集約することにご尽力をいただき、業界として多大なる感謝を申し上げます。
  グローバル・フォーラムのこれまでの活動は需給環境の改善に着実に繋がってきたものと考えておりますが、世界の鉄鋼業を取り巻く環境はより一層厳しさを増しており、過剰生産能力問題が再び顕在化する強い懸念があります。
  既にグローバル・フォーラムは中国・サウジアラビアを除く31の国・地域が参加する形で継続が決まっておりますが、政府にご提案いただいている日中鉄鋼対話の格上げと多国間枠組みが、今後過剰生産能力問題に対処するための両輪になっていくと考えております。 政府には引き続き主導的役割を果たしていただくことを望むとともに、当連盟として今後も最大限の協力を継続していく所存です。
  一方、世界の鉄鋼貿易は保護主義的傾向が一層強まっております。当連盟は、政府が主催する二国間鉄鋼対話等を通じ、通商摩擦の未然防止と健全な自由貿易の確立に向けた取り組みを推進して参ります。

 第三に「地球温暖化対策とエネルギー問題への対応」について申し上げます。
当連盟は2018年に長期ビジョンとして「ゼロカーボンスチールへの挑戦」を公表しました。それが反映された政府の長期戦略は、非連続なイノベーションを通じた「環境と成長の好循環」の実現を目指すとしており、当業界としても大いに共感するものです。
当業界では現在推進中のCOURSE50等の技術開発を着実に推進するとともに、将来の超革新技術開発に向けた検討の準備を進めております。政府におかれては、こうした企業の主体的取組みの足枷となる炭素税のような発想でなく、非連続なイノベーションと成長戦略に繋がる施策を是非お願いしたいと考えております。
  エネルギー問題については、我が国の産業電気料金は震災以降高止まりし、雇用や給与への影響が顕著に表れております。こうした中で昨年の経済産業省の審議会で、FIT法の抜本改正に向けた中間整理がなされました。このような制度見直しをはじめ、安全が確認された原発の早期再稼働を含む、安定供給、経済性、環境、安全のバランスが取れたエネルギー政策の推進により、我が国の電力コストが低減され、国際的イコールフッティングが図られることに期待しております。

 第四に、税制関係について申し上げます。
  税制関係では、償却資産に対する固定資産税の抜本的見直しに向けて要望を継続して参ります。償却資産を対象とする税制は国際的に極めて例外的であり、依然、国内製造業のコスト競争力を損なう大きな要因となっています。国内の鉄鋼業は、設備の維持に関する投資のみならず、イノベーションに向けた前向きな投資を行っていく必要があります。厳しい経営環境が長期化するなか、償却資産に対する税負担は、国際競争における大きなハンディであり、見直しが必須であると考えております。また、法人実効税率についても諸外国で引き下げの動きが進む中、日本においてもOECD主要国の水準である25%程度への着実な引下げを目指すとともに、課税ベースについても本来あるべき姿に戻すべきであると考えます。

 第五に、国土強靱化関係について申し上げます。
  昨年の台風にみられるように近年多発する甚大な自然災害に対し、被災地の復旧・復興はもちろん、政府・自治体が取り組む国土強靱化施策の推進等において、安全・安心に資する「鋼構造」の役割は益々高まっております。鉄鋼連盟としても、鋼構造技術・工法の更なる普及に向けて積極的に活動して参ります。

 第六に、AI/IoTの普及促進に向けた取り組みについて申し上げます。
  政府においては、Society5.0の実現に向けて様々な政策に積極的に取り組む方針を掲げています。
鉄鋼業界においても、世代交代への対応、製造実力の強化、生産性の向上、安全活動への適用など、モノづくりの強化にAI/IoT技術を十分に活用できるかどうかが、今後の雌雄を決するポイントになると言っても過言ではないと考えており、鋭意取り組んでいるところであります。今後とも経済産業省をはじめ関係省庁からの各種政策面等でのご支援を賜りながら積極的に進めてまいりたいと考えております。

 以上、課題認識、主な取り組みについて六点申し上げました。

 2020年は鉄鋼業界にとって厳しい事業環境が続く一年になると思われます。また、この事業環境が一筋縄で解決できるものではないという覚悟を持って事業に臨む年となることと考えております。しかしながら、当連盟では、こういった厳しい時代においても、自らの実力を磨き上げ、変化に迅速に、柔軟に対応できるよう取り組んで参ります。

 日本鉄鋼連盟は、関係各位のご理解とご支援を賜りながら諸課題に取り組んで参ります。この場をお借り致しまして、改めて、皆様方の引き続きのご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。

 結びにあたりまして、本日お集まりの皆様、また関係各位にとりまして、本年が有意義で実り多い年となりますことを心より祈念致しまして、私の挨拶とさせていただきます。

 ご静聴、有り難うございました。


北野会長

竹部副会長

梶山経済産業大臣

加藤厚生労働大臣

小泉環境大臣

武田国土強靱化担当大臣

西村経済再生担当大臣

 

   

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ページの先頭へ