ホーム > ニュースリリース > トピックス >平成28年新年賀詞交換会
トピックス
新年明けましておめでとうございます。 本日はご多忙の中、日本鉄鋼連盟の新年賀詞交換会に多数ご臨席を賜り、誠に有り難うございます。
年頭にあたりましてご挨拶申し上げます。
昨年の日本経済は、雇用・所得環境の改善から個人消費の盛り上がりが期待されたものの、回復の足取りは緩慢となりました。また、円安の定着を受けて一部の業種で国内回帰の動きが見られ、企業収益の改善に伴い設備投資の拡大が期待されましたが、夏以降の新興国経済の停滞を受けて、投資に対する慎重姿勢が強まるなど、こちらも盛り上がりに欠けることとなりました。 鉄鋼業につきましては、内需がマイナスに転じる一方で、生産能力の増大に伴って需給ギャップが拡大した中国からの高水準の輸出が続きました。このことなどから、世界的に需給緩和が顕著となり、各地で通商問題が頻発するなど、極めて厳しい状況となっております。 2015年度のわが国の粗鋼生産量は、国内の在庫調整が長期化したこともあり、1億500万トン程度と、2年連続で前年実績を下回る見込みです。
このような情勢のもと、当連盟としての課題認識、主な取り組みについて以下五点を申し上げたいと思います。
第一に、鉄鋼貿易の秩序ある発展に向けた取り組みについて申し上げます。 先ほども申し上げました通り、世界的な鉄鋼需給の緩和が顕著となり、各地で通商問題が頻発しております。通商摩擦の回避のためにも、健全な貿易秩序の確立は極めて重要であります。わが国鉄鋼業界としては、日本政府との連携の下、タイムリーな通商関連情報の把握や、政府が主催する鉄鋼対話等を通じた主要国・地域の鉄鋼関係者との相互理解の促進と、鉄鋼市場安定化に向けた働きかけに、これまで以上に取り組んでまいります。また、わが国への鉄鋼輸出に対しても、より注意深くモニタリングを行ってまいります。 加えて、わが国の貿易・投資活動の活発化に向けて、昨年関係各位の大変なご尽力により大筋合意されました環太平洋パートナーシップ協定「TPP」につきましても、早期発効に向けた関係者の努力に期待いたします。
第二に、温室効果ガスの削減に向けた取り組みについて申し上げます。 昨年末に開催されたCOP21において、全ての国が参加する公平かつ実効性のある2020年以降の国際枠組みである「パリ協定」が採択されたことに対しまして、日本政府関係者のご努力に敬意を表します。全ての国の参加が得られたのはボトムアップの取り組みの成果であり、わが国の目標も、産業、民生など主要部門で具体的な裏付けのある対策・施策や技術を積み上げて作成されております。今後は、各部門がこれを確実に実行していくことが必要であり、われわれ鉄鋼業界も、低炭素社会実行計画で掲げた目標達成に向け、エコプロセス・エコプロダクト・エコソリューションによるCO2削減の取り組みと、革新的技術の開発を通じて、地球温暖化対策に確実に貢献してまいります。
第三に、安全水準のさらなる向上について申し上げます。 鉄鋼業界では、昨年は、新たな視点での災害防止活動の一環として、外部機関に災害報告書の分析を依頼し、労働災害防止に向けた具体的な実施事項の提案を受けました。この提案に基づき、外部の専門家にも参加いただいて重大災害の原因分析と対策の深掘りを行っており、これらを通じて業界全体の安全水準のさらなる向上を図ってまいります。
第四に、国土強靭化に資する社会インフラ更新への貢献について申し上げます。 昨年に引き続き、高機能の鋼材や鋼構造を活用した技術・工法の提案・普及活動を推進してまいります。加えて、本年は、各自治体が抱える個別の課題に対して、高機能の鋼材や鋼構造の活用が可能な支援のあり方を検討した上で、具体的な提案に繋げることによって、安心・安全な社会基盤の構築に貢献してまいります。
最後に、企業の中長期的な成長基盤の強化について申し上げます。 かつては6重苦と言われた日本企業を取り巻く経営環境ですが、円高の是正、自由貿易体制の推進など、この解消に向けた動きが一歩一歩着実に進んでいることは、日本政府をはじめとした関係者のご努力の賜物であり、深く御礼申し上げます。企業の国際競争力の向上に繋がる流れを確実なものとしていくため、鉄鋼業界といたしましては、低廉かつ安定的なエネルギー供給の実現、企業の競争力強化に資する税制基盤の整備、この二点の実現に向けて、関係各位への働きかけを行ってまいりますので、引き続き皆様方の厚いご支援を賜りたく、よろしくお願いいたします。
以上、課題認識、主な取り組みについて申し上げました。
日本の鉄鋼業界は、粗鋼生産量は1億トンを超える水準を保ち続けているものの、世界における需給ギャップはわれわれがこれまで経験したことのない領域に突入しております。そんな中、本年は、われわれ鉄鋼業界の底力が問われる1年になると思います。このような時こそ、われわれ自身がみずからの足下を今一度見つめ直し、来るべき飛躍の時に向けて、ものづくり産業としての基盤を強化していくことが大切ではないでしょうか。
日本鉄鋼連盟は、関係各位のご理解とご支援を賜りながら諸課題に取り組んでまいります。この場をお借り致しまして、改めて、皆様方の引き続きのご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。
結びにあたりまして、本日お集まりの皆様、また関係各位にとりまして、本年が有意義で実り多い年となりますことを心より祈念致しまして、私の挨拶とさせていただきます。
柿木会長 雑賀副会長
林経済産業大臣 高市総務大臣
とかしき厚生労働副大臣 平口環境副大臣
ページの先頭へ
平成28年新年賀詞交換会 柿木会長年頭挨拶
新年明けましておめでとうございます。
本日はご多忙の中、日本鉄鋼連盟の新年賀詞交換会に多数ご臨席を賜り、誠に有り難うございます。
年頭にあたりましてご挨拶申し上げます。
昨年の日本経済は、雇用・所得環境の改善から個人消費の盛り上がりが期待されたものの、回復の足取りは緩慢となりました。また、円安の定着を受けて一部の業種で国内回帰の動きが見られ、企業収益の改善に伴い設備投資の拡大が期待されましたが、夏以降の新興国経済の停滞を受けて、投資に対する慎重姿勢が強まるなど、こちらも盛り上がりに欠けることとなりました。
鉄鋼業につきましては、内需がマイナスに転じる一方で、生産能力の増大に伴って需給ギャップが拡大した中国からの高水準の輸出が続きました。このことなどから、世界的に需給緩和が顕著となり、各地で通商問題が頻発するなど、極めて厳しい状況となっております。
2015年度のわが国の粗鋼生産量は、国内の在庫調整が長期化したこともあり、1億500万トン程度と、2年連続で前年実績を下回る見込みです。
このような情勢のもと、当連盟としての課題認識、主な取り組みについて以下五点を申し上げたいと思います。
第一に、鉄鋼貿易の秩序ある発展に向けた取り組みについて申し上げます。
先ほども申し上げました通り、世界的な鉄鋼需給の緩和が顕著となり、各地で通商問題が頻発しております。通商摩擦の回避のためにも、健全な貿易秩序の確立は極めて重要であります。わが国鉄鋼業界としては、日本政府との連携の下、タイムリーな通商関連情報の把握や、政府が主催する鉄鋼対話等を通じた主要国・地域の鉄鋼関係者との相互理解の促進と、鉄鋼市場安定化に向けた働きかけに、これまで以上に取り組んでまいります。また、わが国への鉄鋼輸出に対しても、より注意深くモニタリングを行ってまいります。
加えて、わが国の貿易・投資活動の活発化に向けて、昨年関係各位の大変なご尽力により大筋合意されました環太平洋パートナーシップ協定「TPP」につきましても、早期発効に向けた関係者の努力に期待いたします。
第二に、温室効果ガスの削減に向けた取り組みについて申し上げます。
昨年末に開催されたCOP21において、全ての国が参加する公平かつ実効性のある2020年以降の国際枠組みである「パリ協定」が採択されたことに対しまして、日本政府関係者のご努力に敬意を表します。全ての国の参加が得られたのはボトムアップの取り組みの成果であり、わが国の目標も、産業、民生など主要部門で具体的な裏付けのある対策・施策や技術を積み上げて作成されております。今後は、各部門がこれを確実に実行していくことが必要であり、われわれ鉄鋼業界も、低炭素社会実行計画で掲げた目標達成に向け、エコプロセス・エコプロダクト・エコソリューションによるCO2削減の取り組みと、革新的技術の開発を通じて、地球温暖化対策に確実に貢献してまいります。
第三に、安全水準のさらなる向上について申し上げます。
鉄鋼業界では、昨年は、新たな視点での災害防止活動の一環として、外部機関に災害報告書の分析を依頼し、労働災害防止に向けた具体的な実施事項の提案を受けました。この提案に基づき、外部の専門家にも参加いただいて重大災害の原因分析と対策の深掘りを行っており、これらを通じて業界全体の安全水準のさらなる向上を図ってまいります。
第四に、国土強靭化に資する社会インフラ更新への貢献について申し上げます。
昨年に引き続き、高機能の鋼材や鋼構造を活用した技術・工法の提案・普及活動を推進してまいります。加えて、本年は、各自治体が抱える個別の課題に対して、高機能の鋼材や鋼構造の活用が可能な支援のあり方を検討した上で、具体的な提案に繋げることによって、安心・安全な社会基盤の構築に貢献してまいります。
最後に、企業の中長期的な成長基盤の強化について申し上げます。
かつては6重苦と言われた日本企業を取り巻く経営環境ですが、円高の是正、自由貿易体制の推進など、この解消に向けた動きが一歩一歩着実に進んでいることは、日本政府をはじめとした関係者のご努力の賜物であり、深く御礼申し上げます。企業の国際競争力の向上に繋がる流れを確実なものとしていくため、鉄鋼業界といたしましては、低廉かつ安定的なエネルギー供給の実現、企業の競争力強化に資する税制基盤の整備、この二点の実現に向けて、関係各位への働きかけを行ってまいりますので、引き続き皆様方の厚いご支援を賜りたく、よろしくお願いいたします。
以上、課題認識、主な取り組みについて申し上げました。
日本の鉄鋼業界は、粗鋼生産量は1億トンを超える水準を保ち続けているものの、世界における需給ギャップはわれわれがこれまで経験したことのない領域に突入しております。そんな中、本年は、われわれ鉄鋼業界の底力が問われる1年になると思います。このような時こそ、われわれ自身がみずからの足下を今一度見つめ直し、来るべき飛躍の時に向けて、ものづくり産業としての基盤を強化していくことが大切ではないでしょうか。
日本鉄鋼連盟は、関係各位のご理解とご支援を賜りながら諸課題に取り組んでまいります。この場をお借り致しまして、改めて、皆様方の引き続きのご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。
結びにあたりまして、本日お集まりの皆様、また関係各位にとりまして、本年が有意義で実り多い年となりますことを心より祈念致しまして、私の挨拶とさせていただきます。
柿木会長 雑賀副会長
林経済産業大臣 高市総務大臣
とかしき厚生労働副大臣 平口環境副大臣