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(社)日本鉄鋼連盟 平成22年新年賀詞交換会は、1月5日(火)正午からホテルニューオータニにおいて、松下忠洋 経済産業副大臣をご来賓にお迎えし、宗岡正二 会長〔新日本製鐵社長〕、馬田一 副会長〔JFEスチール社長〕、友野宏 副会長〔住友金属工業社長〕、佐藤廣士 副会長〔神戸製鋼所社長〕、米澤常克 副会長〔伊藤忠丸紅鉄鋼会長〕、荒井俊一 副会長〔住友商事専務執行役員〕が出席、約1,500名の参加を得て盛況裡に閉会しました。

平成22年新年賀詞交換会

新年明けまして、おめでとうございます。 本日は大変お忙しい中、日本鉄鋼連盟の新年賀詞交換会に多数ご臨席賜りまして、誠にありがとうございます。年頭にあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

昨年を振り返りますと、わが国経済は、一昨年秋以降の世界金融危機の影響を受け、かつてない厳しい一年でありました。年央から、政府の景気刺激策もあり一部回復の兆しがでてまいりましたが、自律的回復にはほど遠く、加えて年末には円高の進行もあり、景気の2番底も懸念される状況にあります。

我々鉄鋼業界も、前半は、大幅な需要減に見舞われたものの、後半は各国の景気刺激策が功を奏し、中国、東アジア向け等の輸出増加により、生産も下期にかけて徐々に回復して参りました。しかしながら、依然として建築や設備投資関連の鉄鋼需要は著しく冷え込んでおり、先行き不透明な状況が続いております。

このようなわが国鉄鋼業界を取り巻く情勢のなか、当連盟と致しましては、直面する様々な課題への取り組みを、更に強化して参りたいと考えております。 以下、主な取り組みについて、いくつか申し上げたいと思います。

第一は、日本経済の成長に向けた取り組みです。
政府におかれましては、足下の景気の2番底を回避するとともに、併せて日本経済の中長期的な成長にも資する戦略をとりまとめ、早期に実行に移していただきたいと存じます。当連盟といたしましても、鉄鋼業界にとどまらず、経済界の一員として、日本経済の中長期的成長に貢献できる取り組みを検討・提言して参りたいと考えております。

第二は、地球温暖化問題への対応です。
わが国鉄鋼業界は、既に世界最高水準のエネルギー効率を達成しておりますが、3つのエコ、即ち生産プロセスの更なる省エネに取り組むエコプロセス、高機能鋼材製品の供給によりCO2排出削減に貢献するエコプロダクツ、省エネ技術の途上国等への普及によるエコソリューションを政府や他産業と一体となって更に進めて参ります。
また、中長期的には、政府のご支援の下、革新的製鉄プロセスCOURSE 50等によりCO2の大幅な削減を目指して参りたいと考えております。

一方、政府におかれましては、「すべての主要国が参加する公平かつ実効的な枠組み」という前提を堅持していただきたいと存じます。また、日本のみが不合理な負担を強いられることのないように、削減の道筋や、国民負担、経済、雇用に与える影響を明らかにした上で、削減目標の再検討等、国民や産業界と開かれた議論を行っていただくことを切望いたします。

第三は、中国の動向です。
中国の粗鋼生産は昨年約5億5,000万トンに達し、更に拡大する見込みです。過剰能力と過剰生産から惹起される需給バランス問題、原材料価格高騰問題、並びに、各国との通商問題など、中国鉄鋼業の動向には引き続き、注視していくことが必要であります。今後とも、鉄鋼貿易の秩序ある発展に向け、官民による「鉄鋼対話」を通じ、市場の相互理解に努めて参りたいと思います。

第四は、原料問題です。
世界的に進展している原料供給の寡占化は、鉄鋼業界のみならず経済活動全般に悪影響を及ぼす問題でもあります。
昨年、BHPビリトンとリオ・ティントが西豪州の鉄鉱石生産部門の統合を発表しましたが日本鉄鋼業はこの競争制限的な統合に断固反対しております。今後とも寡占化の動向を注視するとともに、資源の安定供給確保に必要な取り組みを継続して参りたいと存じます。

以上、申し述べましたように、我が国鉄鋼業界は現在、大きな課題と先行き不透明な閉塞感に直面しているところであります。
しかしながら、これまでも我が国鉄鋼業界はオイルショック、プラザ合意等の危機を何度も乗り越えて参りました。そして、我が国の国づくりに加え、自動車、家電、造船、建機等の産業と切磋琢磨しつつ、産業連関を組成し、日本のものづくり産業の中核として基礎産業の役割を担い続けて参りました。

資源の無い日本にあって、この国を支えるのは、ものづくり産業しかないことは、今後とも不変であります。世界に冠たる日本のものづくり産業は近いうちに必ず復活いたします。それまでの間、我々鉄鋼業界も自らの役割を改めて認識し、これらの課題を乗り越えて参ります。そして、日本のみならずアジア全域において、我が国鉄鋼業界の存在感を発揮しうるよう自らの体質強化と更なる進化発展に取り組んで参ります。

経済産業省をはじめ、関係機関の皆様方にも引き続き、ご支援、ご指導賜りたく、お願い申し上げる次第であります。

また、本年は10月初めに、ワールドスチール(世界鉄鋼協会)の第44回年次大会が東京にて開催され、世界66カ国から多数の参加が見込まれております。日本鉄鋼連盟といたしましても、最大限の準備を致したいと思いますので、皆さま方のご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

最後になりましたが、経済産業省をはじめ関係省庁におかれましては、より一層のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げますとともに、本日、ご臨席賜りました皆々様のますますのご健勝とご発展を祈念し、新年のご挨拶とさせて頂きます。

  

  

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