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会長コメント

米国通商法201条包括的鉄鋼調査に関するITC救済措置投票について

2001年12月10日
(社)日本鉄鋼連盟
会長  千速 晃

今般のITC(米国国際貿易委員会)による救済措置投票では、ほとんどの品種において高率の関税賦課による輸入制限策が勧告されているが、これは米国鉄鋼業救済のために、米国鉄鋼需要家に過大な犠牲を強いる不当なものである。

米国鉄鋼業の経営悪化の要因は、国内需要の増加を上回る米国ミルによる設備拡張、高炉ミル間及び高炉ミル・ミニミル間の価格競争、自動車向け等の需要減退、及び米国ミルが抱える過重なレガシーコストにある。

この事実を無視して、問題を全て輸入鋼材に転嫁することは誤りである。米国通商法201条に基づく輸入規制は、米国鉄鋼業が競争力を回復する為の調整を行うにあたり一時的な猶予期間を与えようとする補助的手段のはずである。

仮に米国が何らかの輸入規制措置をとるのであれば、米国鉄鋼需要家に悪影響の少ない数量規制とするべきであるが、その場合でも、米国鉄鋼業が自ら努力して真摯にリストラを実行することが前提とされるべきである。

そもそも本調査は本年6月に発表されたブッシュ大統領の多角的鉄鋼政策に基づき実施されているものであるが、同政策のもう一つの柱である過剰能力問題についてOECD鉄鋼委員会の場にて各国政府により検討が進められている所である。

来年2月に予定されている大統領決定において、米国政府が米国鉄鋼業のリストラ・再編成の動向および過剰能力問題の検討の進展も考慮し、鋼材に関する輸入規制という一方的な保護主義的措置を講じないという良識ある決定を下されることを強く希望する。

今後、日本鉄鋼業界として、来年の大統領決定に向け、日本からの輸出が被害を与えていないことに加え、上記の点を引き続き主張していく所存である。

以上

本件に関するご連絡/お問合せ先:

(社)日本鉄鋼連盟 総務本部秘書・広報グループ
TEL:03-3669-4822  FAX:03-3664-1457

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