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会長コメント

米国通商法201条包括的鉄鋼調査に関するITC被害認定結果について

2001年10月23日
(社)日本鉄鋼連盟
会長  千速 晃

今般のITC(米国国際貿易委員会)被害認定は、米国鉄鋼産業の保護を目的とする不当なものであり、極めて遺憾である。本調査開始以降、我々輸出国側がITCに提出した回答書・意見書で分析され明らかにされているとおり、米国鉄鋼業の経営悪化の要因は、輸入鋼材ではなく、(1)国内需要の増加を上回る米国ミルによる設備拡張、(2)高炉ミル間及び高炉ミル・ミニミル間の価格競争、(3)自動車向け等の需要減退、及び(4)米国ミルが抱える過重なレガシーコストにある。

にもかかわらず、ITCは、調査対象33品種のうち日本を含む各国からの米国の鉄鋼輸入数量の82%(2001年1〜6月)を占める12品種につき「被害あり」、4品種につき可否同数により「調査継続」との認定を行ったが、何ら認定の根拠も示されていない。今般のITC決定は、鉄鋼輸出国のみならず、米国の需要家にも甚大な悪影響を及ぼすと深く憂慮するとともに、米ミルによる保護主義的圧力に屈したものであれば、誠に残念と言わざるを得ない。

とくに、輸入鋼材の55%(2001年1〜6月)を占める薄板系品種においては、1998年(2,530万トン)をピークとして、大幅に減少(2001年1〜6月:706万トン、年率換算1,410万トン)し、かつその多くが既にアンチダンピング措置の対象とされている。にもかかわらず、方向性電磁鋼板を除く全ての品種について「被害あり」ないし「調査継続」の決定となり、何を根拠としたものか理解に苦しむ。

とりわけ冷延鋼板については、ITCは、昨年3月、日本を含む6ヵ国からの輸入に関するアンチダンピング調査において、輸入鋼材は国内産業に被害を及ぼしていないとしてシロの決定を下し、昨年11月にも、韓国、ドイツ、オランダ3ヵ国からの輸入に関するアンチダンピング措置のサンセット見直し(AD税賦課5年目の撤廃可否検討)においてシロの決定を下したばかりである。

更に、今回の決定では、メキシコ・カナダに関する決定を他国とは別に行ったほか、半製品であるスラブ、厚板及び薄板製品を同種の製品として一括りに損害の有無を判断したこと等、WTOルールに照らしても、問題が大きいと言わざるを得ない。

今後は、12月下旬に予定されている救済措置に関するITC勧告及び来年2月の大統領決定に向け、日本からの対米鋼材輸出の大半は米国ミルが十分に供給できない特殊な製品であることを改めて主張し、輸入規制対象からの除外を求めていくと共に、より軽微な救済措置を求めていく所存である。

以上

本件に関するご連絡/お問合せ先:

(社)日本鉄鋼連盟 総務本部秘書・広報グループ
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