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講演要旨

講演要旨

低層鋼構造建物の完全倒壊までの余裕度(平面骨組に加えて立体骨組の挙動紹介)

  建築基準法の想定をはるかに超える地震の発生が危惧されるなか、建物が完全倒壊に至ることで取り返しようのない人的・物的被害が生じるまでに、どれほどの余裕を有するかを知ることは極めて有用なことと思います。昨年は、建築基準法に則って設計された鋼構造建物を対象に、完全倒壊に至るまでの平面骨組としての挙動を紹介しました。今年は、それに加えて斜め方向および直交2方向に地震動が入力したときの立体骨組としての倒壊挙動を紹介いたします。

「拡大孔・スロット孔を用いた高力ボルト摩擦接合部の設計法に関する研究」

  高力ボルト摩擦接合は溶接接合に求められる高い技能を必要としない技能レスな接合法として多くの鉄骨造で用いられています。鉄骨製作や現場施工で発生する不可避の誤差はボルト軸とボルト孔のクリアランスで吸収されますが、建物の大型化や大スパン化、部材の大断面化により、現行のクリアランス規定では誤差吸収が困難な例も聞かれます。このように拡大孔やスロット孔の需要は以前にも増して高まっていますが、現状は特定の案件や条件に限定して個別に認定を取得したものしか認められておりません。この拡大孔・スロット孔を用いた高力ボルト摩擦接合を広く一般に使用できるように設計・施工法の確立に向けた研究について紹介いたします

「冷間成形角鋼管の溶接・加工品質向上と施工合理化に関する研究」

  本研究は、鉄骨造建築物の柱材として最も多く使用されている冷間成形角形鋼管柱を対象に、溶接部の品質向上と施工合理化を目指すものです。具体的には溶接部の要求性能を数値解析および構造実験等により明らかにすると共に、溶接部の保有性能を定量的に評価する手法をまとめ、これにより、鉄骨製作工場認定制度における性能評価基準の入熱量、パス間温度の管理値を緩和することを目的とします。さらに、柱端の溶接接合部に要求される性能を適切に評価することで、より一層の施工合理化を図る溶接条件を導出します。今回、研究会の成果として、冷間成形角形鋼管の機械的特性、冷間成形角形鋼管柱継手における溶接金属の強度と曲げ変形性能の関係についてご紹介いたします。

「日本の鉄鋼業界における低炭素化の取組み」

  日本鉄鋼連盟では、2021年2月にわが国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針を発表いたしました。本講演では、わが国が2050年カーボンニュートラル実現するうえでの鉄鋼業界が抱える課題やこれを克服するための技術的施策や取組みについて解説いたします。また、需要家の皆様が掲げるCO2やその他の温室効果ガス(GHG)の排出量削減目標の設定に必要な鉄鋼製品の環境情報(CO2排出量原単位や温室効果ガス排出原単位等)について、具体的な公開事例を紹介しながら、それらの整備状況や入手方法についてご紹介いたします。

「建研・国総研における鉄骨造建築物に関する最近の研究」

  本講演では、建築研究所および国土技術政策総合研究所で昨年度実施した鉄骨造建築物に関する以下の3つの調査、研究の概要を紹介いたします。

   (1)角形鋼管柱の終局限界性能に関する振動台実験

   (2)中層鋼構造建築物の大地震時の床応答加速度に関する検討

   (3)2022年3月の福島県沖を震源とする地震での大規模空間建築物の被害調査

(1)は、建研の指定課題「極大地震に対する鋼構造建築物の倒壊防止に関する設計・評価技術の開発(R1〜R3年度)」で実施した角形鋼管柱の地震時の終局限界性能に関する振動台実験です。

(2)は、建研の課題で実施した変形抑制された中層鋼構造建築物の大地震時の床応答加速度に関する検討です。

(3)は、2022年3月に発生した福島県沖を震源とする地震により大規模空間建築物で発生した被害状況について、建研、国総研関係者が実施した現地調査の報告です。

 

  講師・講演内容は変更となる場合があります。

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