標準化の歩み

  鉄鋼業界では、昭和43年(1968年)以来、(社)鋼材倶楽部 帳票コード委員会(現 一般社団法人日本鉄鋼連盟 鉄鋼流通情報化委員会:高炉メーカー5社,総合商社4社が委員)において、鋼材取引情報の標準化を進めてきました。昭和45年には、高炉メーカー・商社間で用いる注文書/送状/請求書の記載項目の内、57項目の内容定義、コード、略号及び記入要領の標準化を実施し、以後多くの業界標準を取り決め、実用に供してきました。

  その後、通信の自由化や、エレクトロニクス技術の急速な発展に支えられ、情報伝送による業務効率化の動きがあらゆる産業・拠点間に拡大する中で、平成2年、通商産業省の指導の下、「鉄鋼ネットワーク研究会」を設立し、鋼材取引のEDI化研究に着手しました。その背景としては、欧米での商取引のEDI化進展と国際標準整備の動き、物流近代化という社会的要請、鉄鋼需要業界から様々な情報伝送化要請が発生したこと等があげられます。

  「鉄鋼ネットワーク研究会」では、海外主要EDI標準の研究や、国内各拠点間での鋼材取引に伴う情報授受の実態調査等を行い、その成果として、平成4年、標準化の一次原案である「鉄鋼EDI標準(Ver.0) 」をとりまとめました。これをもとに鉄鋼関連・需要業界との共同研究を押し進めた結果、造船業界との間でEDIが実運用に入ったこと等を受けて、平成7年に実用標準としての「鉄鋼EDI標準(1994年版) 」を刊行しました。これに先立ち、新たに「鉄鋼EDIセンター」を設立し、活動母体を移しましたが、研究会の機能を引き継ぎつつ、実行機関へと性格を改めています。

  94年版の刊行以降も「鉄鋼EDIセンター」を中心に同標準のレベルアップ、普及拡大に取り組んでおり、平成9年には特殊鋼分野への適用拡大などの改善を加えた「鉄鋼EDI標準(1997年版)」を刊行したのを始め、コイルセンターを始めとする中間流通・加工業者と最終需要家間での情報交換を意図した標準情報の整備や輸出用標準メッセージの制定等の改訂を実施しました。また、EDI分野におけるインターネット網・インターネット技術の活用の進展といった現状に鑑み、主にVANの利用を想定した情報伝達・表現規約の見直しを行い、業務内容に則して色々な通信手段や形態が選択できる形としました。こうした標準化活動の成果を集大成し、平成13年に「鉄鋼EDI標準(2001年版)」を刊行しました。

年 度

組 織標準化内容/事 業 の推移

昭和43年度 「帳票・コード委員会」設立
      45 「標準項目・コードの手引き(57項目)」策定(高炉メーカー・商社間で用いる注文書/送状/請求書の記載項目の内、57項目の内容定義、コード、略号、記入要領の標準化)
      46 「送状兼請求(磁気)テープフォーマット」の標準化
「請求単価金額の算出方法」の標準化
「鋼材の重量計算方法(第1期分:鋼板・条鋼・鋼管)」の標準化
      47 「帳票・コード専門委員会」に組織変更
      53 「輸出鋼材の標準オファーシート」作成
      54 「注文書推奨モデル(国内−条鋼・鋼板)」作成
      56 「鋼材の重量計算方法(第2期分:溶融亜鉛めっき鋼板、ぶりき、ぶりき原板)」の標準化、
      57 「特殊鋼注文書推奨モデル(国内・輸出)」作成
平成年度 「送状兼請求(磁気)テープフォーマット(改訂版)」刊行
      「輸出商談支援システム標準書(鋼板)」作成
「鉄鋼流通情報化委員会」に組織変更
「鉄鋼ネットワーク研究会」設立(所管:通商産業省)
・EDIの研究と鉄鋼標準作成作業開始(鉄鋼メーカー6社+商社7社)
    4 「鉄鋼EDI標準−Ver.0」作成
・日本造船工業会,日本自動車工業会との間で共同研究開始
    5 「鉄鋼EDIセンター」設立(鉄鋼流通情報化委員会の下部実務組織)
    6 「鉄鋼EDI標準 1994年版」刊行
・日本造船工業会とのEDI普及拡大
・日本自動車工業会と適用標準の合意(バーコード・検査成績情報)
・コイルセンター/倉庫8社との間でEDI化実証実験開始
    7 ・関係業界とのEDI普及・拡大
・日本電機工業会と業際EDI検討開始(鉄鋼/電機EDI合同研究会)
    8 「鉄鋼EC研究会」設立(NCALS参加プロジェクト)
    9 「鉄鋼EDI標準 1997年版」刊行
・(社)特殊鋼倶楽部との共同研究等により、適用品種を全品種に拡大
・輸出適用について実証実験に着手
   10 「企業間EC技術基盤研究会」設立(鉄鋼EC研究会の後継組織)
・EDI海外接続実証実験を実施
「送状兼請求データ」標準フォーマット(1998年版)作成
   11 鉄鋼中間流通・加工業者−(商社)−需要家間での情報交換に供する出側標準メッセージ制定
輸出用検査成績情報の拡充
・インターネットを活用した海外接続実験を実施
基礎素材産業ECシステム研究実施
   12 ・「インターネットEDIの手引き」取りまとめ
「小形棒鋼取引用標準メッセージ」制定
輸出用検査成績情報の拡充
「鉄鋼ECネット管理運用センター」設置

 

鉄鋼EDIの目的

  鉄鋼業界は、大きく製造メーカー(高炉,特殊鋼,電炉,単圧)、商社(総合商社,問屋)、中間加工流通(コイルセンター,シャー・スリッター,サービスセンター,倉庫,特約店)から構成され、国内のほとんど全ての産業の最終需要家と取引を行っています。

  鋼材取引は、鉄鋼メーカー〜商社〜加工センター〜需要家の各拠点に跨る輻輳した関係にあり、鋼材取引に関する情報は、上記のように広範な範囲で日々膨大な量がやり取りされています。

 複数企業間における商取引情報のデータ交換を各社がばらばらに個別のやり方で行う場合には、システム投資の重複投資等の経済的無駄が発生します。
 鉄鋼EDI標準は、こうした弊害を排除し、共通のやり方でのデータ交換を可能にする「データ交換のための共通規約」です。

EDI化の狙いと効果(13173 バイト)




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 一般社団法人日本鉄鋼連盟 鉄鋼EDIセンター
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