鋼矢板

多様な需要分野ごとの目的にあった、さまざまな断面の形をもつ鋼材です。H形鋼をはじめ、山形鋼、I形鋼など数多くある品種の総称で、ビルの窓枠に使われるサッシバー、自動車の車輪にタイヤをはめこむリム・リングバーなどの特殊な鋼材も形鋼に含まれます。



H形鋼…超高層ビル、長大橋へと需要拡大
H形鋼は断面がH字形で、フランジ幅が広く、フランジ内外面が平行な形鋼です。用途は建築や橋梁、船舶などの構造材用と、岸壁、建築物、高速道路などの基礎杭用に分けられます。そのため材質的には高張力、耐候性、耐食性、耐海水性などが求められます。また、フランジ厚が異なるH形鋼を接合しても外側に段差がつかないように水平ロールの幅を動かしてウェブ高さを調整した外法(そとのり)一定H形鋼もつくられています。


山形鋼…身近なところでも活躍
断面がL字形で、ウェブ、フランジ、肉厚が寸法別、形状別に分かれています。二辺の幅が等しい等辺山形鋼、幅が異なる不等辺山形鋼、また二辺が不等厚な不等辺不等厚山形鋼があります。材質は普通鋼のほか、強度や剛性を必要とする構造材用には高張力鋼を使用します。用途は鉄塔、建築、橋梁、船舶をはじめ、クレーンを支える梁、ブルドーザーやトラクターの台車の構造材などがあります。身近なところでは門や柵の枠、ロッカーの取付金具など広範囲に使用されています。


I形鋼…各種機械や車両に活躍
断面がI形をしており、フランジの内側にテーパー(勾配)をつけてH形鋼と区別しています。用途は建築、橋梁、各種機械、車両などです。


溝形鋼…背中合わせで柱、梁材に
断面がコの字形の溝形で、フランジにはテーパーがついており、その先端に丸みのある突起をつけたものとテーパーのない直角のものがあります。テーパーなしのものは背中合わせにして組枠状にすれば強度の高い柱や梁として使用できます。用途は船舶、車両、建築、機械など広範囲に使われています。


軽量形鋼…軽量化、コストなど現代ニーズにマッチ
熱延薄板や帯鋼を冷間でロールやプレス、引き抜きなどの方法で成形加工した形鋼です。薄板から成形するため、肉厚が薄い、比較的自由に成形できる、鋼材重量の軽量化や使用量の節減などの経済効果がある、寸法精度が高く表面がきれいに仕上がるなど、さまざまなメリットがあります。このため、組み立て材や床張り構造材などに適し、校舎、倉庫、公会堂、マーケット、アーケードなどの建築用から、手すり、門、金網外枠、自動車用部材など幅広い用途があります。