銑鉄は炭素分を多く(4〜5%)含んでいるため、硬く、もろいので、これをねばりのある強靭な鋼(はがね)にするには、高純度の酸素を吹き込み炭素を徹底的に減らし、溶銑予備処理でとりきれなかったりん、硫黄、けい素など不純物を除去します。
それでは転炉による精錬を見てみることにしましょう。転炉はずんぐりとしたつぼ型で、炉体を動かすことができます。まず、転炉に少量の鉄スクラップを装入し、続けて溶けた銑鉄が入った取鍋から、炉体を傾けた転炉の口に銑鉄を注ぎ込みます。再び、炉体を立てて精錬の開始。銑鉄に生石灰などを入れ、酸素を吹き込みます。大きな圧力をかけた高純度の酸素は、炭素をはじめけい素、マンガンなどと急速に反応し、高熱(酸化熱)を発生して溶融させます。この時生じた酸化物やりん、硫黄などの不純物は生石灰などと化合して、転炉滓(スラグ)として固定されます。
仕上げに成分調整や酸素除去のために少量のフェロマンガン、フェロシリコン、アルミニウムなどを加え、装入時とは反対側に炉体を傾け、白熱した鋼を取鍋に流し出します。