ホーム > ニュースリリース > トピックス > 平成22年関西地区新年賀詞交換会

トピックス

平成22年関西地区新年賀詞交換会

平成22年関西地区新年賀詞交換会 佐藤副会長年頭挨拶

 皆様、明けましておめでとうございます。本日はご多忙のところ、賀詞交換会に多数のご参集をいただきまして、誠に有難うございます。日頃、日本鉄鋼連盟を始めとする各団体の活動に対しまして、暖かいご支援とご協力をいただいていることと併せて御礼申し上げます。主催者を代表致しまして、一言新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年の日本経済を振り返りますと、まさに「どん底」からのスタートでした。その後、各国での景気刺激策に加え、中国やインドといった新興国の成長もあって、最悪期からは脱したものの、公共投資や民間投資の縮減、円高、デフレなど、予断を許さない状況が続いております。日本政府は、持続的な経済発展を目指す「新成長戦略」の基本方針を年末に示しましたが、総理ご自身が仰っているように「計画を実行できなければ絵に描いた餅」であります。今後、具体的な政策に反映していくことを期待したいと思います。

 この一年は、我が国鉄鋼業にとりましても、安定的かつ持続的な成長を続けていくために、鼎の軽重が問われる年になると見ておりますが、ここで業界が直面する幾つかの課題と、鉄鋼連盟の取り組みにつきまして、お話させていただきます。

 初めに「地球温暖化問題」です。
 先月、コペンハーゲンにてCOP15(第15回気候変動枠組み条約締結国会議)が開催され、今後に向けて一定の方向性は示されたものの、京都議定書に代わる新しい枠組みの構築は見送られました。これからの国際交渉の場において、政府には、従来から言われている「すべての主要国の参加」、「公平性・実効性のある国際枠組みの構築」を貫いていただくことを切望致します。こうした基本原則が貫徹されない中で、排出権取引制度や環境税を導入することに対しては、鉄鋼連盟として、従来通り断固反対していく考えでおります。

 ご承知の通り、日本の鉄鋼業としましては、世界最高水準にあるエネルギー効率の更なる向上を図るとともに、「三つのエコ」、即ち「エコプロセス」(製造工程の効率化)、「エコプロダクト」(高機能鋼材の供給)、「エコソリューション」(省エネ技術の新興国への普及)を世界に発信して、CO2の削減に貢献したいと思います。

 加えて水素還元やCO2の分離・固定などを狙った「COURSE50」をはじめとする革新的な技術開発も、鋭意推進してまいります。これらの活動に積極的に取り組むことで、「経済発展と地球環境保全の両立」という世界共通目標の達成の一翼を担う所存であります。

 次に、「中国」につきまして、お話したいと思います。
 中国鉄鋼業の急激な拡大は、大きな影響を与えつつあります。例えば、6億トンを超すと言われている生産設備の過剰能力問題が顕在化し、余剰生産分を海外市場へ輸出することで、各国で通商問題が起きています。また、生産の急拡大により、鉄鉱石や石炭などの鉄鋼原材料が高騰し、各国メーカーの安定的な調達の妨げになっております。
 鉄鋼連盟と致しましては、今後の中国政府の実効ある適切な政策を期待するとともに、私たちも日本政府と連携しながら、両国の官民による「鉄鋼対話」を通して相互理解を深め、共存共栄を図っていきたいと願っています。

 この他、「新技術・新製品開発」、「原材料の安定調達」と「世界の鉄鋼市場の健全な成長(EPA・FTA)」に向けた取り組みも重要と認識しており、引き続き、力を注いでまいります。そして「安全・防災」への取り組みが、全ての大前提となることは言うまでもありません。過去の事例もしっかりと学びながら、安全で安心して働ける職場づくりを目指していきたいと考えています。

 さて、今年は10月にWorld Steel Association(世界鉄鋼協会)の第44回年次大会が、日本で開催されます。60カ国以上の鉄鋼メーカー首脳が来日され、鉄鋼業界の課題について意見交換や議論がなされるわけですが、この大会は、日本鉄鋼業の存在感を内外にアピールする絶好の機会です。鉄鋼連盟と致しましても、実りのある大会とするべく努力してまいりますので、皆様におかれましても、ご理解とご協力を賜りたくよろしくお願いいたします。

 今年は依然として厳しい年かも知れません。しかし関西は厳しさをユーモアに包んで耐えたりエネルギーに変える術を知った地域であると思います。先の仕分け作業で「×」を付けられたスパコンやSpring8も、粘り強い折衝で復活しました。寅年ですから野球もいいことがある予感もします。厳しい寒さの後には春が来ることを信じて、今年一年、一緒に頑張りましょう。

 結びに、皆様におかれましては、鉄鋼連盟を始めとする業界団体に対しまして、今後とも倍旧のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様方の益々のご発展とご健勝を心より祈念致しまして、新年の挨拶とさせていただきます。ご清聴有難うございました。

PDFをご覧いただくにあたってご使用のパソコンにAdobe Reader(Acrobat Reader)がインストールされている必要があります。
Adobe Reader,Acrobat ReaderはAdobe社の登録商標です。

ページの先頭へ