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「欧州の気候変動政策とエネルギー事情」に関する説明会を開催

 日本鉄鋼連盟は財団法人日本エネルギー経済研究所と共催で、11月29日(火)に「欧州の気候変動政策とエネルギー事情」に関する説明会を開催致しました。当日は製造業をはじめ関係業種やマスコミ関係者を含め約140名の参加を得て、盛況裡に終了しました。

 本説明会では欧州鉄鋼連盟(EUROFER)のゴードン・モファット事務局長から「欧州の気候変動政策と鉄鋼業界に対するその影響」と題して、また、日本エネルギー経済研究所の伊藤主任研究員から「欧州におけるFIT制度と産業界の費用負担及び軽減措置等に関する動向〜ドイツを中心として〜」と題して、それぞれご報告頂き、参加者からは欧州の気候変動関連の諸政策による産業界への影響等に関する最新動向について高い関心が寄せられました。

 
・ 主催:一般社団法人日本鉄鋼連盟
・ 共催:財団法人日本エネルギー経済研究所
・ 日時:2011年11月29日(火)10:00〜12:00
・ 場所:KDDIホール(東京都中央区大手町)
・ 講演:
  ∇ 欧州鉄鋼連盟(EUROFER)
    ゴードン・モファット(Gordon Moffat) 事務局長
   “European Climate Change Policy and its implications for the steel industry”
    (「欧州の気候変動政策と鉄鋼業界に対するその影響」)
    (資料) 英文PDF   (資料) 日本語訳PDF

講演概要
  欧州排出量取引制度 (EU-ETS)の第3フェーズ(2013年〜)では、エネルギー多消費産業に対し、温室効果ガスの排出量を2020年に2005年比21%削減するという目標が課されることとなっているが、この制度は主要排出国に同様の厳しい規制が導入されていない中で、極めて不平等な制度であると指摘。また、制度設計においては、エネルギー集約産業の競争力を保護するために、炭素リーケージの影響を受ける業界に対しては、ベンチマークの段階で100%無償割当とすることがEU指令で決められているものの、実際に定められた鉄鋼のベンチマークは、EU指令に定められている排ガスを利用した発電の炭素分の規定を無視した目標達成困難な水準に設定されていると指摘。このため鉄鋼業は省エネパフォーマンスが高くても同制度の運用のために莫大なコストを支払わざるを得ず、技術革新への投資意欲が削ぎ落とされる極めて産業破壊的な制度となっていることなどの問題点を指摘した。さらに、2050年に向けた欧州低炭素ロードマップ(2009年10月、欧州理事会承認)においても個々の産業の特性を考慮せず、技術的な裏付けがないまま厳しい削減目標が設定されており、これらの非合理的な政策決定に欧州鉄鋼連盟として強く反論していること等を紹介した。

 ∇ 財団法人日本エネルギー経済研究所 
  新エネルギー・国際協力支援ユニット 新エネルギーグループ(兼)電力・石炭ユニット 電力グループ
  伊藤 葉子 主任研究員
  「欧州におけるFIT制度と産業界の費用負担及び軽減措置等に関する動向 〜ドイツを中心として〜」
  (資料) 日本語PDF

講演概要
 ドイツでは固定価格買取制度(FIT制度)の実施以降、再生可能エネルギーの導入が促進される一方で、電力料金が上昇傾向にあるため、特に国際競争力に配慮する観点から電力多消費産業に対する負担軽減措置が導入されていることを紹介するとともに、最新の同措置の改定内容についても詳細な説明を行った。また、スペイン、イタリアを含め欧州産業界には今後のFIT制度の費用増大への懸念が強く、費用負担の透明性にも課題があることなどを指摘した。

  

              (会場風景)                       (モファット氏)                 (伊藤氏)

 

本件に関するご連絡/お問合せ先:
 総務本部 広報グループ        TEL:03-3669-4822    FAX:03-3664-1457
 技術・環境本部 地球環境グループ        TEL : 03-3669-4837   FAX : 03-3669-0228

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