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(社)日本鉄鋼連盟 平成23年新年賀詞交換会は、1月5日(水)正午からホテルニューオータニにおいて、松下忠洋 経済産業副大臣をご来賓にお迎えし、林田英治 会長〔JFEスチール社長〕、宗岡正二 副会長〔新日本製鐵社長〕、友野宏 副会長〔住友金属工業社長〕、佐藤廣士 副会長〔神戸製鋼所社長〕、荒井俊一 副会長〔住友商事専務執行役員〕、阿部謙 副会長〔三井物産副社長執行役員〕が出席して開催され、約1,400名の参加を得て盛況裡に閉会しました。

平成23年新年賀詞交換会 林田会長年頭挨拶

新年明けましておめでとうございます。 本日はご多忙の中、日本鉄鋼連盟の新年賀詞交換会に多数ご臨席を賜り、誠に有り難うございます。 年頭にあたりまして一言ご挨拶申し上げます。

 昨年の世界経済は、新興国や資源国が引き続き力強い成長を実現した一方、先進国は財政問題や金融不安等により緩慢な回復となりました。我が国においては、急激な円高による輸出競争力の低下や景気対策効果の剥落等により、先行き不透明感の広がりと共に、景気減速も懸念されます。この様な状況にあって、本年度のわが国粗鋼生産量は、1億1千万トンレベルとなることが予想され、世界金融危機以前の90%を超える水準にまで持ち直すものと思われます。アジア諸国を中心とした新興国は引き続き高い成長を維持するものと思われ、わが国においても、これら海外経済の改善や政策効果等によって景気の持ち直しが期待されるところであり、本年の鋼材需要については、昨年並もしくは若干の回復も期待できると考えております。

このような情勢のもと、当連盟としての課題認識、主な取り組みについて以下に申し上げたいと思います。

第一に、成長のための条件整備です。
昨年末、来年度税制改正大綱が閣議決定され、法人実効税率が5%引き下げられることになりました。熾烈な国際競争に直面するわが国産業にとって、公平な競争環境の確立は必須であり、政府におかれましては、今回の税率引き下げを大きな第一歩として、引き続き諸政策の拡充を図って頂きます様、重ねてお願い申し上げます。鉄鋼業界としても、成長戦略に資する提言とその実現に向けて真摯に取り組んで参る所存です。

第二に、地球温暖化対策について申し上げます。 COP16において、京都議定書の延長回避という結果をもたらしたわが国政府の一貫した交渉姿勢に心から敬意を表すと共に、鉄鋼業界として、引き続き技術を軸としたCO2削減の取り組みに注力して参ります。 一方、国内政策に関しまして、地球温暖化対策基本法案が継続審議となる中、先行して地球温暖化対策のための税が導入されることとなりましたが、温暖化対策に関連する負担と期待される効果が全体として見えておらず、極めて残念であると言わざるを得ません。

国内排出量取引制度については「慎重に検討を行う」として、事実上検討を当面先送りするとのことですが、産業界への負担や政府による統制といった問題は明らかであり、先送りではなく検討を終了させ、導入を見送るべきであります。
また、2012年からの導入を目指す方針とされた再生可能エネルギーの全量買取制度について、とりわけ電炉業界に対して同制度がもたらす負担は極めて深刻であり、仮に導入する場合でも、電力多消費産業が国内で事業、雇用を継続するための直接的、具体的な負担軽減措置を強く求めていく所存です。

第三に、資源問題についてです。
資源大手サプライヤーの統合問題に関して、独禁当局の厳正な審査の過程で統合断念に至ったことは、歓迎すべきことであります。しかしながら、昨年の原料価格交渉において、大幅な価格上昇と四半期毎の価格改定を受け入れざるを得なかったことについては、誠に遺憾であります。各社で取り組むべき課題ではありますが、原料の権益確保が一層重要となっています。

第四に、鉄鋼貿易の秩序ある発展に向けた取り組みについて申し上げます。
わが国周辺諸国において、鉄鋼生産能力の増強が相次いでおりますが、通商問題回避のためにも、アジア地域における健全なマーケット形成が極めて重要であると考えます。その意味において、鉄鋼市場に対する相互理解を深め、健全な貿易秩序の確立を目的とした「鉄鋼対話」は益々重要な役割を持つこととなり、鉄鋼業界としても様々な機会を通じて相互理解の促進に最大限努力して参ります。
また、政府におかれましては、国際競争力維持・促進の観点から、環太平洋経済連携協定(TPP)への早期参加をはじめとする自由貿易体制推進の取り組みについて引き続きご対応頂きたくお願い申し上げます。

最後に、わが国の「ものづくり」を支える取り組みについて申し上げます。

資源の無いわが国にあって、日本を支えるのはものづくり産業であると確信しています。ものづくりの根幹である人材の確保、技能の継承、そして安全については不断の努力を要するものであります。これらは会員各社での取り組みが基本ですが、鉄鋼連盟としても情報の共有化をベースとした有効な支援施策を継続的に検討、実施して参ります。

以上、主な取り組みについて申し上げました。
日本鉄鋼連盟は、関係各位のご理解とご支援を賜りながら諸課題に取り組んで参ります。この場をお借り致しまして、改めて、皆様方の引き続きのご指導とご鞭撻をお願い申し上げます。 結びにあたりまして、本日お集まりの皆様、また関係各位にとりまして、本年も有意義で実り多い年となりますことを心より祈念致しまして、私の挨拶とさせて頂きます。ご静聴、有り難うございました。

林田会長  荒井副会長

松下経済産業副大臣  

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