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平成20年新年賀詞交換会

平成20年関西地区新年賀詞交換会 犬伏副会長年頭挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。本日はご多忙のところ、多数のご参集を戴きまして、誠に有難うございます。また日頃は日本鉄鋼連盟を始めとする、主催六団体の活動に対しまして、暖かいご支援とご協力を賜り、重ねて御礼申し上げます。主催者を代表致しまして、新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、世界経済が拡大を続ける中、日本の景気も堅調に推移し、総じて良い年であったと思います。関西の景気も底堅く、関西空港の第二滑走路の供用開始、電機産業をはじめとした大型設備投資、大規模商業施設の建設計画など、明るいニュースも随分増えてきたのではないでしょうか。

さて、日本の鉄鋼業界を取り巻く環境について、私の見解も織り交ぜながら、お話をさせて戴きます。

昨年は、新興経済諸国向けを始めとした輸出の活況に加え、製造業向けを中心に内需も好調を持続し、全般として高い活動水準となりました。販売価格については、需給逼迫による国際市況の上昇も背景にあり、需要業界のご理解を頂戴しながら、改善を進めてくることが出来ました。更にコストダウンを始めとした経営努力も相俟って、各社ともまずまずの業績を上げております。またメーカー・流通ともに、国の内外での投資を盛んに実行するなど、将来を見据えた活動を進めることが出来た年ではないかと思います。

2008年度については、米国を始めとする海外経済や原油価格・為替の動向、中国での鉄鋼生産の増加などに目を配る必要はありますが、内外ともに需要は底堅いと思われます。鉄鋼連盟では日本の粗鋼生産量を1億1,880万トンと、6年連続で1億1,000万トン台を記録すると予想しております。多くのメーカーにおいて、フル操業の状態が続き、業界としては、安定的な生産と流通と云うテーマが一層問われる年になろうかと思います。

一方、世界的な鉄鋼生産の高まりを受けて、原材料需給は逼迫し、海上運賃を含め、製造コストは高騰しています。従って、メーカーにとりましては、生産歩留まりの改善を始めとして、あらゆるコストダウンを図ることが求められます。同時に、低品位原料の活用や、原材料使用量の削減を可能とする次世代の製鉄法など、新たな技術開発にも取り組んでまいります。しかし、コストの上昇を自助努力で吸収することができない場合は、販 売価格への反映が欠かせず、粘り強く需要業界のご理解を賜ってまいる所存です。

ところで「資源メジャー」と呼ばれる会社が統合するのではないかと云う、穏やかでない動きが見受けられます。これ以上の寡占化が進めば、正常な市場メカニズムが機能しなくなる危惧もあります。私どもの業界のみならず、顧客や世界経済全体への不利益をもたらしかねず、鉄鋼連盟としては、断固として反対し、統合の阻止に向け、あらゆる手を尽くしてまいる所存です。

 さて、鉄鋼連盟が今年、重点的に取り組んでいこうとしている課題につきまして、ここでご紹介致します。

 まず「地球温暖化対策への取り組み」について申し上げます。

京都議定書の第一約束期間が今年4月から始まります。これに向け、自主行動計画の温室効果ガスの削減目標を達成することが、私どもにとりまして、最も重要な課題です。業界としては、従来にも増して省エネルギーに力を注ぐとともに、生産の動向如何ではCDMなどによるク レジットを活用してでも、目標の達成に邁進してまいります。

先月にバリ島で開催されたCOP13では、IISIが、鉄鋼業独自のセクトラルアプローチの推進、そして排出権取引への反対を、各国政府に訴えかけました。排出権取引は未だ燻り続けている環境税の導入と同様、エネルギー効率の低い国への生産シフトを招き、地球全体での温室効果ガスの削減に繋がりません。鉄鋼連盟としても、IISIの活動に歩調を合わせ、関係者への働きかけを行ってまいる所存です。更には、世界のお役に 立つよう、省エネルギー技術の移転・普及を進め、経済発展と環境保全の両立と云う世界共通の目標の達成に貢献してまいります。

 次に「安全・防災への取り組み」です。

鉄鋼業界においては、今年も高い生産水準が続き、現場は繁忙感が強いと思われます。このような中、会員各社にとりましては、安全・防災活動への取り組みの成果を示す、試金石になる年であると認識しております。鉄鋼連盟としても、需要業界への安定供給を確保する観点から、そして何よりも大切な人の命を守るためにも、安全・防災への取り組みを強化してまいります。昨年、過去の重大災害の分析を基に、具体的な労災防止対策を提言しましたが、引き続き、加盟会社の安全・防災活動への支援に力を尽くしてまいる所存です。

 三点目は「世界の鉄鋼市場の健全な成長を促していくための取り組み」です。

経済のグローバル化が進展する中、日本の国際競争力を確保するため、FTA・EPAなどの制度の構築は重要です。この観点からも、シンガポールなど3カ国に続き、昨年、チリ・タイとのEPAが発効し、加えてASEAN全体との多国間協定の合意に至ったことは、政府を始めとする関係各位のご努力の賜物です。交渉中の各国との経済連携協力についても、早期の締結を要望するとともに、業界として積極的な協力を続けてまいります。並行して、鉄鋼業界と致しましても、世界各地域・国との官民対話を通じて、相互理解を深め、健全な貿易ルールの維持・確立を図ってまいります。

最後に申し上げますのは「鉄鋼業の社会的認知度の向上」です。この数年来、主に子供や若者をターゲットとして、東京の科学技術館「鉄鋼展示室」のリニューアル、小学校で副教材としてお使い戴くパンフレットの配布、「メタルはイケてるぜ!!」の採用活動ポスター作製などの活動を進めてまいりました。

今年はこれを更に拡大して「近代製鉄発祥150周年記念事業」を全国で展開してまいります。スローガンは「人が活かす、人を生かす、鉄」、英語では「Steel for life」です。詳細につきましては2月の記者発表でご紹介する予定ですが、関西におきましても、各社の事業所でイベントの開催を計画しています。この活動を通じて、鉄鋼業の魅力と将来性を、社会全体に向けてアピールしてまいります。皆様におかれましても、名刺に150周年のロゴマークを入れ、お知り合いにも紹介するなど、一体感をもって、この記念事業への参画・協力をお願いしたいと思います。

これまで、鉄鋼連盟が取り組む課題の幾つかをご紹介させて戴きました。今年は、洞爺湖サミット、米国の大統領選挙などが予定されており、内外ともに政治の世界では大きな動きがありそうです。何れにしましても、国政につきましては、資源・エネルギー問題を始めとした経済施策や、安心できる暮らしに繋がるような政策を、適切かつタイムリーに実行して戴きたいものです。

結びに、皆様方におかれては、鉄鋼連盟を始めとする業界団体に対しまして、今後とも倍旧のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。皆様方の益々のご発展とご健勝を、心より祈念致しまして、新年の挨拶とさせて戴きます。ご清聴有難うございました。

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