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平成19年関西地区鉄鋼新年賀詞交換会

友野副会長 挨拶

皆様 あけましておめでとうございます。

本日はお忙しい中、関西地区鉄鋼賀詞交換会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
高いところから恐縮ではありますが、年頭に当りまして、日本鉄鋼連盟を代表いたしまして一言ご挨拶申し上げます。

昨年を振り返りますと、世界経済、日本経済とも、まずは堅調に底堅く推移するなかで、関西経済につきましても、順調な発展を遂げた1年であったと思います。

関西地区の景況感は、全国平均を上回る状況が2年続いており、いまや関西が全国景気を引っ張る大きな力の一つと言っても良いような状況であります。

この要因には、もちろん、中国を中心とした東アジア経済の力強い成長の恩恵という側面もありますが、そのような追い風を、地域経済発展の牽引力に変えているのは、何より、この場にお集まりの皆様の格別なご尽力、ご努力の賜物です。改めまして深い敬意を表したいと思います。

加えまして、本年、関西にはビッグイベントが目白押しであります。

8月2日には、待望の関空第二滑走路が開港し、これを祝いますように、
8月25日には世界陸上の大阪大会が開幕いたします。

続いて9月になりますと、世界各地で活躍される数千名の華商の皆様が一同に会される 第9回世界華商大会 が神戸と大阪で開催されます。
これらは関西・大阪を世界にアピールする大きなチャンスです。

更に10月には我らの阪神タイガースが、セ・リーグ優勝、日本一、アジアチャンピオンの三冠に輝くことが決定しておりますし、これで、この春にも開催地が決定されます2008年の主要国首脳会議、世界サミットの会場が関西開催となれば、言うことなし、万々歳という状況であります。

このように堅調な経済環境のもと、鉄鋼需要も昨年並みの高い水準が見込まれております。鉄連では、2007年度の全国粗鋼生産を、06年度横ばいか若干マイナスの水準であると見込んでおります。
輸出環境と輸入鋼材の影響をどうみるかで、若干、上、下と見方が変って参りますが、まずは、需要面ではそう大きな心配は無いと考えております。

むしろ、私たち鉄鋼業界が試されているのは、過去の苦い教訓から、私たち自身がどれだけ学んでいるか、ということではないでしょうか。

鉄鋼業は”Cyclical“で”Volatile“、「景気循環に激しく影響され、好景気も3年と続かない産業」だと、永くのあいだ、揶揄されておりましたし、今でもそのような懸念を耳にすることもあります。

私たち鉄鋼業界は、それぞれ、厳しい合理化、構造改革を遂行する中でも、技術には、歯を食いしばって資源を投入して参りました。

少々の需給のブレには、びくともしない、現在の日本の鉄鋼業界の姿がある。過去とは完全にその様相を変えた、新たな発展のステージに鉄鋼は入っているということを、是非、本年は実証して参りたい。その為に非常に重要なのが、「教訓を忘れない」ということであります。

このような認識と、私たちを取り巻く内外の環境を踏まえまして、日本鉄鋼連盟としての課題を大きくは六点ほど、六つというと多すぎて、覚え切れませんので、今年の干支の「いのしし」になぞらえましてお話し申し上げます。

イノシシの「い」の一番の課題は、何と言っても原材料価格の問題であります。

昨年末に鉄鉱石が値上げ、という新聞報道があったように、本年も世界的な資源インフレの潮流に大きな変化は無いようです。スクラップ、亜鉛、ニッケル等々非常に大きなコストアップにメーカーは直面しております。

供給責任を引き続き全うする為にも、業界全体で、2003年からの累計試算では2兆5千億円にも及ぶ原材料価格の高騰影響についての、需要家の皆様のご理解をいただくよう、関係者の皆様には、尚一層のご努力をお願いして参りたいと思います。

二つ目の課題、イノシシの「の」でいうと、「のんびり構えているとえらいこと」、になるのが、世界的なM&Aというか、規模の巨大化を追い求める動きが、今年も続きそうということがあります。

法制度上の問題は、政府部内でいろいろご検討いただいているようでありますが、何はともあれ、我々も、株主価値を損なうような動きに対しては、許される範囲内での防衛策を講じると同時に、それぞれの会社の企業価値を永続的に向上させる取組みを更に強化して参りたいと考えます。

三つ目と四つ目の課題、イノシシの「し」ということで、「しっかりと」やらなければならないのは、安全と環境の問題であります。

関係会社や協力会社の皆さんも含めた、製造現場の仲間が、安心して安全に働ける職場は、製造業にとりましては、全ての企業活動の根本となる問題であります。

労働災害の撲滅に向けて、今一度、現場を見つめ直し、各社・鉄連一体となった取組みをするなかで、早期にその効果を出して参りたいと思います。

環境、省エネルギー、地球温暖化防止につきましても「しっかりとした取組み」が求められる問題であります。

私たち鉄鋼業界については、まずは自らの問題として、自主行動計画で定めた目標をきちんと達成することが第一です。

そして、私たちが過去から営々と積み上げてきた、世界最高水準の省エネ技術を、地球環境保護の観点から、新興鉄鋼生産諸国にご紹介していく取組みが、ますます重要になってくると考えられます。

地球環境・地域環境あっての製造業である、ということをしっかりと肝に銘じつつ、これが強制一律的な統制ということにならないよう、あくまでも自主的な取組みを中心とした活動を活発に行って参りたいと考えます。

五つ目の課題、もうひとつの イノシシ の「し」で、是非、この場に居られる皆様に広く「紹介」していただきたいことは、鉄鋼業は、「人づくり」の産業である、ということであります。

私どもの会社につきましても、業績の回復と共に、新人の採用を増加させているところでありますが、応募してきた若者が、鉄鋼の製造現場を見学されて異口同音に出てきますのが、「1.デケエ」「2.スゲエ」「3.カッコイイ」という言葉です。

新聞、雑誌での人気ランキングや、業界としての認知度は、まだまだ低いのですが、一度入社された方の定着率は、特に統計はありませんが、他の業界に比べると非常に高いのではないか、と感じています。

特に、この数年は、各社で大きな設備投資が続きます。新入社員で入社して、即、何十億円、何百億円という仕事を任される。こんなに人を育てられる環境は、そうなかなかあるものでは無いと思います。

鉄連は本年も引き続き、社会的認知度向上に向けた取組みをして参ります。

六つ目の課題、締めくくりとして申し上げたいのが、どうにも、「猪突猛進」型の中国鉄鋼業界でありますので、これはしっかりとウオッチしつつ、秩序ある鉄鋼マーケットの形成に努力しなければならない、ということであります。

「猪突猛進」と申し上げましたが、私の山登りの経験から致しますと、実は、イノシシの本当の恐ろしいところは、その「方向転換のスピード」の凄まじさであります。
どんどん世界中の鋼材を飲み込んでいた中国が、昨年は逆に「純輸出国」に転じるということで、世界のマーケットは、大きな局面の変化を迎えております。

世界鉄鋼業界の正常な発展に向けて、最大の生産・消費国である中国鉄鋼業の健全な形での近代化は欠かすことができない事項であり、さきほど申し上げた地球環境問題も含め、日本の先進製鉄国としての経験をキッチリと、トランスファーしていくことが、日本の大きな役割と考えます。

その他の地域との経済連携協定等の推進も含めまして、鉄連は、官民対話など、色々な局面で、しっかりと粘り強く対応して参りますので、政府関係省庁をはじめとした関係各位の絶大なご協力を改めてお願い申し上げたいと存じます。

日本鉄鋼連盟は、あらゆる面で皆様のお役に立てるよう、本年も最大限の努力をいたす所存です。

今後とも、引き続きのご支援とご鞭撻をお願い申し上げると共に、皆様の今年1年のますますの、ご健勝とご発展をお祈りして年頭のご挨拶といたします。

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