COURSE50を支える技術

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コークス改良

コークスに求められる特性

改質コークス炉ガスを用いた水素還元により、高炉へのコークス投入量が削減され、CO2排出量を低減することが期待できます。その一方、少ないコークス量でも高炉内での鉄鉱石の還元反応に必要な通気性を維持できるような、高強度のコークスが必要となると予想されます。
また、水素還元時の吸熱反応により高炉内温度の低下も予想され、これに対応できる高反応性コークスが必要になると考えられます。新たに開発する高性能粘結材は、高い軟化溶融性と膨張性を有しており、コークス用に配合した石炭粒子間の空隙を埋めて押し固め、コークスの強度を高める効果があります。この効果を利用することで、従来は利用できなかった反応性の高い石炭の配合量も高めることが可能となり、高い強度と反応性の両方の特性を持つコークスを製造することができます。

コークスに求められる特性の解説図

コークス炉ガスの水素濃度を高める

コークス炉ガスの水素濃度を高めるの解説図

開発の必要性

高炉での鉄鉱石の水素還元に使用する水素を外部から調達する場合には、水素を製造する場所でCO2が発生します。
社会での新たなCO2発生を防ぐためには製鉄所内部で水素を作りだす必要があります。

現状

製鉄所では、コークスを製造する際に水素が半分以上含まれるコークス炉ガスが高温状態で発生します。ガス成分とその他成分に分離するために急冷され、コークス炉ガスは製鉄所内の燃料ガスとして有効に利用されています。これまで、発生直後の高温ガスの熱エネルギーは利用されていませんでした。

新技術開発

本技術は、これまで利用困難としてきた高温のコークス炉ガスの熱エネルギーを利用して、ガス中のタールを熱分解することにより水素分を増加させ、さらにコークス炉ガス中の一酸化炭素と合わせて高炉へ吹込むことで、現在、鉄鉱石の還元に使われているコークスの使用量を削減することができます。

このプロジェクトでは、実際のコークス炉から排出される高温のガスに含まれたタールを対象として、高温の熱エネルギーを利用し、熱分解を促進させる触媒を用いて水素に変換するプロセスの開発を行っています。
具体的には、過去に実施した国家プロジェクト「製鉄プロセスガス利用水素製造技術開発」で得られた成果を基に、(1)実機化に向けたプロセスの設計と実COGを用いた試験による検証、(2)高温のCOG雰囲気下でも動作可能な機械要素技術の開発、(3)触媒の大量製造技術の確立、を目指します。

目的の化学反応の進行を加速させる物質で、自身は反応前後で変化しないもの。

未利用排熱活用

製鉄所排熱をCO2の分離・回収に活かす

高炉ガスからCO2を分離・回収処理するためには、蒸気や電力などのエネルギーを必要とします。しかし、これらを外部より調達すると、そのエネルギーを生み出す場所で新たにCO2が発生します。
わが国の製鉄所では、製鉄プロセスから発生する排熱の大部分を既に蒸気や電力として回収し、有効に利用しています。

製鉄所における排熱回収の現状の解説図

日本鉄鋼業のエネルギー効率は世界で最も高いのですが、その技術力をもってしても利用できていない排熱がまだ多く残っています。現在、利用されていない熱エネルギーは、400℃程度以下の低温排熱や、高温であっても熱発生量の変動が大きいなど、利用の困難なものに限られています。

製鉄プロセスにおける未利用顕熱・排熱の現状の解説図

そこで、本開発では、CO2分離・回収のエネルギー源として、我が国鉄鋼業が誇る世界最先端のエネルギー活用技術・省エネ技術を基盤とし、これまで技術面または経済面で利用困難とされてきた、未利用の工場排熱を積極活用する新技術開発に取り組んでいます。

具体的には、以下の技術開発でブレークスルーを目指します。

・スラグ顕熱回収技術開発
・カリーナサイクル発電技術開発
・PCM(相変化物質)の利用
・ヒートポンプの利用

スラグ顕熱回収技術開発

ガス分離プロセス(PSA*)の解説図

化学吸収法において吸収液からCO2を分離するための熱エネルギーとして、製鉄所内の未利用な高温排熱を回収・供給することが有効です。
そのため1200℃〜1600℃の高温溶融状態の製鋼スラグからスラグ製品を製造する工程において、製鋼スラグの顕熱を回収する技術開発に取組んでいます。
開発のポイントは、顕熱回収と製鋼スラグ製品の品質確保の両立です。
スラグ顕熱の回収率を最大化すると同時に、スラグ製品の安定製造技術を確立することを目的に、スラグ成形と顕熱回収を連続化してプロセスの開発を進めています。

  • 試験装置全景

カリーナサイクル発電技術開発

CO2分離・回収に使用する電気エネルギーを排熱から回収・供給するための技術開発に取り組みます。100℃前後の排熱を回収するカリーナサイクル発電は世界で数例の実施例がありますが、設備コスト、排熱回収効率面で課題があり、広範な普及には至っていません。技術開発により以下の課題解決に取り組んでいます。

・低位熱発電システムに関する低沸点媒体の探索による排熱回収効率向上
・発電設備のコスト、及びサイズの低減技術開発

カリーナサイクル発電システムの一例の解説図

PCM(相変化物質)の利用

化学吸収法において吸収液からCO2を分離するための熱エネルギーとして活用する未利用の中低温排熱を、効率よく回収(蓄熱)・運搬・放出(放熱)する手段として相変化物質を利用する技術開発に取り組んでいます。
PCM(相変化物質)は融解・凝固潜熱を利用し、高い密度で熱を蓄えることが可能な物質です。
断熱容器に収めたPCMを車両等で運搬することにより、損失の少ない熱輸送が可能となります。断続的に発生する排熱や離れた場所で少量ずつ発生する排熱をPCMに蓄えて集めることで、CO2分離・回収エネルギーとして活用可能になると期待されています。
大規模な蓄熱・熱輸送技術としてはまだ実用化されておらず、世界で初めての技術となります。
本プロジェクトでは、ボイラ等で140℃の高温蒸気を製造できない低温排熱をCO2吸収液の再生エネルギーとして利用するために、以下の課題について取り組んでいます。

・140℃の高温で適用可能なPCMの開発
・製鉄所で発生する大規模な排熱に対応可能な蓄放熱速度の向上

PCM(相変化物質)の利用の解説図

Phase Change Material

ヒートポンプの利用

中低温排熱を、化学吸収法で必要となる熱源に活用するため、ヒートポンプ利用技術開発に取り組むことを予定しています。ヒートポンプはエネルギー(動力・熱)によって作動し温度差を作り出す装置です。昇温幅が小さい場合に高い効率が期待できるため、高温排水から低圧蒸気を製造する等の用途に向いています。熱駆動ヒートポンプは排熱自体の温度と環境温度との差を駆動力として作動し、外部からエネルギーを投入することなく高温を作り出すことができます。大量に存在するものの現状では利用方法が無い低温排熱に対して、熱駆動ヒートポンプを用いればその一部をCO2分離・回収へ適用することが可能になると期待されます。

ヒートポンプの利用の解説図
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